第2章 目覚める力
「…一体どういう状況なんだ?」
あれから俺たちはファボに稽古をつけてもらうはずだったが…
「貴様らごときに長の手を煩わせるなんて甚しい!このメディーが殺してやる」
ファボの邸に戻ると、金髪で黒色のメッシュが入っている紅い眼の女性が現れた。
どうやらファボに稽古をつけてもらうのが気に入らないようだ。とんでもない殺気を感じるぜ。
…殺してやるという言葉が聞こえたけど気のせいだよな。
「メディー。落ち着かぬか。」
「お、長…私は反対ですよ。長がラグースと上手く付き合っているからこのデンルトーは支配されずにすんでいるのです。こんな人間どもに関わったら間違いなくラグースの反感を買います」
「そうかもしれんな…だが我はデイタ達に託してみたいと思うのだ。このタイルターの未来をな」
「っな…まだ会って間もないコイツらにですか?!」
「あぁ。我には分かるぞ。
…お前もそうだろう?」
俺の眼を見て問うファボ。
ファボの紅い眼に見られ、胸がざわつく。
何なんだこの胸騒ぎ…
それにお前もって…このヒトはどういう意味で言っているんだ?
?マークを頭に浮かべる俺にファボはにししと笑った。
「デイタ。我がお前の中に眠っている奴を叩き起こしてやる」
「…俺の中に眠っている奴?」
「アニキ…やっぱりアニキの中に何かいるんですね!!」
楽しそうに笑うファボにキラキラとした目で俺を見るラッスター。
「尚更ダメです!長が認める程の力を持っているということですよね…このメディーが今ここでコイツの息の根を止めます」
電流を帯びたクナイを俺に目掛けて投げるメディーという女性。
間一髪で俺は避けた。
あ、危ねぇ…
後ろの木が見事に真っ二つだぜ。
「何だメディー…そんなにも…
デイタ達に稽古をつけたかったのだな!最初からそう言えば良いではないかぁ、にしし」
可愛い奴めと笑うファボ。
いや、ファボさんよ…
これは完璧に俺を殺しにかかっているんじゃねぇか?
ツルギもぼーっと俺たちのやり取りを見ているだけだ。
「さあ!長の右腕のこのメディーが相手になってやる!!」
激しい電流を身に纏い構えるメディーという女性。
「…殺る気満々だな」
「そうみてぇだな…女性に攻撃するのは気が引けるけどそんなこと言っている場合じゃねぇよな」
「…怖いけど俺も戦いやす!!」
俺たちも構えて応戦する。
女性の激しい攻撃は止まらず、防ぐのにやっとだ。
主に俺を攻撃しているが、攻撃の範囲が広くカヌヤとラッスターにも攻撃が及ぶ。
「ラッキーパーンチ☆」
「無駄だ!そんな目潰しこの私には効かんぞ!!」
「ひぎゃ!」
果敢にメディーという女性に攻撃をするが、回し蹴りをお見舞いされて飛んでいくラッスター。
「まあ、相性が悪いよね。ラッスター君」
ツルギは冷静に言い、ノックアウトされたラッスターを介抱する。
「ラッスター…!
よくもラッスターを!」
「何…!」
女性の攻撃を受けながら拳で攻撃をする。
俺の予想外な動きに動揺し、攻撃を受けるメディーという女性。
「…何故私の攻撃を受けて動けるんだ…?」
「それはコイツが化け物だからだ」
「なっ!!」
「おいおい、カヌヤ。そんなに堂々と言われると流石に傷つくぜ」
カヌヤは隙のできたメディーという女性の下半身と地面を凍らせ身動きを取れないようにした。
「ふむ。そこまでだ…メディー。大丈夫か?」
ファボが止めに入り、メディーを介抱する。
「長…すみません…私…負けてしまいました」
「泣くな、メディー。
何たってコイツらは我が認めた奴らだからな。もう休むのだ」
メディーという女性の頭を撫でて、寝かせるファボ。
「にしし。さすがだな、デイタとカヌヤ!やっと我の出番がきた!!」
「長…何年振りに戦うんだっけ…取りあえず力加減できないと思うから死なないようにね」
嬉しそうに準備運動をするファボに忠告をするツルギ。
「ま、待ってくれ…俺たちも休ませっぐぁ!」
「何を甘いことを言っておる。言っただろう、叩き起こしてやるって」
攻撃が見えなかった。
何が起きているんだ?分かるのは身体が宙に浮いているということだけ。
「そぉれ!」
ーーデイタ!危ない!!ーー
あ、れ…またこの声だ…
何だか前よりも鮮明に聞こえるような…
「うむ。少しは出てきたな。」
「あ、れ…?」
一瞬だけ意識が飛んでいたようだ。
気がつくと地面に仰向けに寝転がっていた。
そして、カヌヤが治療をしてくれている。
ファボの着物の裾が短くなっていて、焦げていた。
まるで燃やされた跡のように。
「ふむぅ…これ以上は流石に死んでしまうな!にしし」
「長ぁ…客人をイジめたら駄目って言ってたくせに」
「これでも大分加減はしたんだけどなぁ…ちょっとやり過ぎちゃったな」
テヘッと笑うファボをじとーと軽蔑するような目で見るツルギ。
「デイタ、すまなかったな。休むぞ」
俺とメディーという女性を担いで邸に入るファボ。
ラッスターを担いだツルギとカヌヤも後を追う。
「へぇー。ファボ君オレとは戦ってくれないのになぁ…あのデイタっていう奴そんなにも強いのかな」
ふわふわと浮かびながら呟く黒いフード深々と被ったヒト。
フードから見え隠れする口元は笑っていた。
あれから俺たちはファボに稽古をつけてもらうはずだったが…
「貴様らごときに長の手を煩わせるなんて甚しい!このメディーが殺してやる」
ファボの邸に戻ると、金髪で黒色のメッシュが入っている紅い眼の女性が現れた。
どうやらファボに稽古をつけてもらうのが気に入らないようだ。とんでもない殺気を感じるぜ。
…殺してやるという言葉が聞こえたけど気のせいだよな。
「メディー。落ち着かぬか。」
「お、長…私は反対ですよ。長がラグースと上手く付き合っているからこのデンルトーは支配されずにすんでいるのです。こんな人間どもに関わったら間違いなくラグースの反感を買います」
「そうかもしれんな…だが我はデイタ達に託してみたいと思うのだ。このタイルターの未来をな」
「っな…まだ会って間もないコイツらにですか?!」
「あぁ。我には分かるぞ。
…お前もそうだろう?」
俺の眼を見て問うファボ。
ファボの紅い眼に見られ、胸がざわつく。
何なんだこの胸騒ぎ…
それにお前もって…このヒトはどういう意味で言っているんだ?
?マークを頭に浮かべる俺にファボはにししと笑った。
「デイタ。我がお前の中に眠っている奴を叩き起こしてやる」
「…俺の中に眠っている奴?」
「アニキ…やっぱりアニキの中に何かいるんですね!!」
楽しそうに笑うファボにキラキラとした目で俺を見るラッスター。
「尚更ダメです!長が認める程の力を持っているということですよね…このメディーが今ここでコイツの息の根を止めます」
電流を帯びたクナイを俺に目掛けて投げるメディーという女性。
間一髪で俺は避けた。
あ、危ねぇ…
後ろの木が見事に真っ二つだぜ。
「何だメディー…そんなにも…
デイタ達に稽古をつけたかったのだな!最初からそう言えば良いではないかぁ、にしし」
可愛い奴めと笑うファボ。
いや、ファボさんよ…
これは完璧に俺を殺しにかかっているんじゃねぇか?
ツルギもぼーっと俺たちのやり取りを見ているだけだ。
「さあ!長の右腕のこのメディーが相手になってやる!!」
激しい電流を身に纏い構えるメディーという女性。
「…殺る気満々だな」
「そうみてぇだな…女性に攻撃するのは気が引けるけどそんなこと言っている場合じゃねぇよな」
「…怖いけど俺も戦いやす!!」
俺たちも構えて応戦する。
女性の激しい攻撃は止まらず、防ぐのにやっとだ。
主に俺を攻撃しているが、攻撃の範囲が広くカヌヤとラッスターにも攻撃が及ぶ。
「ラッキーパーンチ☆」
「無駄だ!そんな目潰しこの私には効かんぞ!!」
「ひぎゃ!」
果敢にメディーという女性に攻撃をするが、回し蹴りをお見舞いされて飛んでいくラッスター。
「まあ、相性が悪いよね。ラッスター君」
ツルギは冷静に言い、ノックアウトされたラッスターを介抱する。
「ラッスター…!
よくもラッスターを!」
「何…!」
女性の攻撃を受けながら拳で攻撃をする。
俺の予想外な動きに動揺し、攻撃を受けるメディーという女性。
「…何故私の攻撃を受けて動けるんだ…?」
「それはコイツが化け物だからだ」
「なっ!!」
「おいおい、カヌヤ。そんなに堂々と言われると流石に傷つくぜ」
カヌヤは隙のできたメディーという女性の下半身と地面を凍らせ身動きを取れないようにした。
「ふむ。そこまでだ…メディー。大丈夫か?」
ファボが止めに入り、メディーを介抱する。
「長…すみません…私…負けてしまいました」
「泣くな、メディー。
何たってコイツらは我が認めた奴らだからな。もう休むのだ」
メディーという女性の頭を撫でて、寝かせるファボ。
「にしし。さすがだな、デイタとカヌヤ!やっと我の出番がきた!!」
「長…何年振りに戦うんだっけ…取りあえず力加減できないと思うから死なないようにね」
嬉しそうに準備運動をするファボに忠告をするツルギ。
「ま、待ってくれ…俺たちも休ませっぐぁ!」
「何を甘いことを言っておる。言っただろう、叩き起こしてやるって」
攻撃が見えなかった。
何が起きているんだ?分かるのは身体が宙に浮いているということだけ。
「そぉれ!」
ーーデイタ!危ない!!ーー
あ、れ…またこの声だ…
何だか前よりも鮮明に聞こえるような…
「うむ。少しは出てきたな。」
「あ、れ…?」
一瞬だけ意識が飛んでいたようだ。
気がつくと地面に仰向けに寝転がっていた。
そして、カヌヤが治療をしてくれている。
ファボの着物の裾が短くなっていて、焦げていた。
まるで燃やされた跡のように。
「ふむぅ…これ以上は流石に死んでしまうな!にしし」
「長ぁ…客人をイジめたら駄目って言ってたくせに」
「これでも大分加減はしたんだけどなぁ…ちょっとやり過ぎちゃったな」
テヘッと笑うファボをじとーと軽蔑するような目で見るツルギ。
「デイタ、すまなかったな。休むぞ」
俺とメディーという女性を担いで邸に入るファボ。
ラッスターを担いだツルギとカヌヤも後を追う。
「へぇー。ファボ君オレとは戦ってくれないのになぁ…あのデイタっていう奴そんなにも強いのかな」
ふわふわと浮かびながら呟く黒いフード深々と被ったヒト。
フードから見え隠れする口元は笑っていた。