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第2章 目覚める力

「おぉー。でっかい門ですぜい!バチバチしていやす!」

「触ると丸焦げになりそうだなぁ」

今、俺たちはデンルトーの入り口に来ていた。
ブットとデンルトーは距離が近いため早く着いた。
着いたのは良いが、入り口の前に立ちはだかる大きな門に圧倒されている。

「ブットを除いて5大種族の住処の前には大門が構えられている。敵の侵入を防ぐためにな。この大門があるということは、まだデンルトーはラグースに支配されていないということだろう」

「成る程な。…これはどうやったら入れるんだ?」

「デンルトーの住民に開けてもらうしかないな。」

「「………。」」

辺りを見渡すが、住民らしきヒトは見当たらない。

「…まあ、外は物騒だから中々住処の外に出る住民がいないのかもしれないな。」

「そうだよなぁ…あんなにモンスターが居たら出歩けねぇよな」

俺たちはどうにかして入れないか、再び辺りを見渡す。

「…ん?アニキ!あそこに小さな穴が空いてやすぜ!俺見てきやすぜ!!」

ラッスターが門の脇にある小さな穴を見つけ、様子を見に行く。

「この穴なら何とかデンルトーに入れそうですぜい!俺行ってきやす!」

「おいおいおい。ラッスター危…」

「うぎゃぁあああ!!ベトベトしやすぜ!!何ですかいこれ?!」

ヒトの話を聞かずに身を呈して穴に潜っていったラッスター。
しかし、くぐり抜けると同時に悲鳴が聞こえた。

「ラッスター!大丈夫か!!」

「モンスターを捕まえる罠だったのか。」

穴を覗き込むと、向こう側から穴を覗いている赤髪の青年と目が合う。

「…侵入者?とりあえずこのエサは貰っていこ」

「お、おい?!それはエサじゃねぇ!ラッスターだ!!」

罠に引っかかったラッスターを担ぎその場から去ろうとする赤髪の青年。
俺の声は虚しく消えていく。

「とんでもなく不利な状況になってしまったな」

「それよりもラッスターを助けねぇと!」

「このエサはラッスターって言うんだね。」

「「?!」」

いつの間にか門が開いていて、そこにはラッスターを捕まえた赤髪の青年がいた。
真顔で担いでいるラッスターを見る。
ラッスターは赤髪の青年に向かって光りながら頭突きをする。

「離してくだせぇ!勝手に入ってごめんなさい!」

「うわ、眩し」

青年は必死に抜け出そうとするラッスターを相手にせず、俺たちの方を見る。

「氷の民と……正体不明なヒトが二人。長に報告しないとねぇ」

面倒くさそうにため息を吐く赤髪の青年。

「お前たちの住処に勝手に入ってしまって、すまなかった。俺たちは長に聞きたいことがあるんだ」

「ふ~ん。残念だったね、長は侵入者には容赦ないんだよね。皆んな怖くて近付かないのに君たちって勇敢なんだね」

ラッスターを担いで立ち去ろうとする赤髪の青年。

ぐぅぅぅ~…

「…お腹減りやした……」

ラッスターのお腹の音で立ち止まる。

ぐぅぅぅ~

「…そうだな…そういえば食料も底を尽きて何も食ってねかったな」

「貴様らこんな状況で…」

くぅぅ~

「「………。」」

ラッスターにつられて、俺とカヌヤの腹の音も鳴る。

「ふふ…あはははは!君たち面白いね!お腹減ってるんなら店(うち)においでよ」

楽しそうに笑いながら、案内をしてくれる赤髪の青年。
どうやら、俺たちの様子が面白かったようだ。

こうして俺たちは無事にデンルトーに入ることができた。
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