第1章 旅の始まり
――デイタ…――
誰かが俺の頭の中で呼びかけている。
綺麗で優しくて…どこか懐かしい声。
――これから辛いことが沢山あるでしょう。でも決して諦めては駄目。貴方の…で……のよ…――
途切れていく言葉の中で俺は目を覚ました。
「…?!」
目を覚ますとそこは見たことのない場所だった。
辺りを見渡すと緑豊かな樹ばかり。
なんだか孤島の森林に似ているけどそことは違うみてぇだ。
「うにゃ…」
そして見覚えのない少年が隣で眠っていた。
オレンジの髪に左目尻にある星のステッカー。
服のデザインにも所々星が描かれている。
そうかそうか…星が大好きなんだな。
「…って、そんなこと考えている場合じゃねぇ!
おい、起きてくれ」
何が何だか分からない俺は気持ちよさそうに眠っている少年を揺さぶった。
すると少年は眠たそうに重い瞼をゆっくりと開けた。
「…うぅ…何ですかい?」
「気持ちよく眠っている時に悪ぃがここはどこだ?」
「ここですかい?…んー…どこなんでしょうか…」
キョロキョロと辺りを見渡し、困ったような顔をして悩む少年。
どうやら少年も今の状況が分かっていないみたいだ。
「そういや、貴方は誰ですかい?」
「あぁ、俺はデイタだ。…お前は?」
「俺は…誰なんですかいね?まあ、俺のことは適当に呼んでくだせぇ!」
「適当にって……?」
あっさりしている少年を困惑した目で見る俺。
すると草陰が動き大きな影が俺たちの前に現れた。
〈ギェエエエエ!〉
「「!!」」
その影の正体は人間と鳥を合わせたような化け物だった。
恰好の獲物を狙う野獣みたいな目で俺たちを見る。
「っふ…ここは任せてくだせぇ」
「…お前戦えるのか?」
余裕の笑みを俺に向ける少年。
俺は黙って少年の勇姿を見守ることにした。
「ラッキーパーンチ☆」
少年は右ストレートを化け物に喰らわせた。
攻撃が当たるとともに星の形をした光が飛び散る。
〈…ギェ?〉
が、化け物には全然効いていないみたいだ。
「これはおかしいですぜい」
「そうだな。結構大技ぽかったのにな」
「…すいやせん…鳥ちゃんになら勝てると思ったんですが…」
俺の後ろに隠れながら言う少年。
おいおい。あれのどこが鳥ちゃんなんだ?
どこからどう見ても強そうな化け物オーラがプンプンしてんじゃねぇか。
心の中でぼやきながら太刀を構える俺。
化け物も身構えて戦闘モードに切り替わった。
「はぁっ!」
〈ギェアアアアア!〉
「っぐ?!」
俺の攻撃を避けずに攻撃を繰り出す化け物。
化け物の攻撃を太刀で受け止める。
斬られても動じない…
コイツには痛覚がねぇーのか。
こりゃ厄介な相手だぜ…
「はぁ…はぁ…」
長く続いている攻防戦に俺の体は限界を迎えていた。
化け物の体もボロボロのはずなのに勢いが緩まない。
「おい…逃げろ…」
「…え?」
勝てる保証が無い俺は少年に逃げるように促した。
しかし、少年は不思議そうな顔で俺を見ていた。
「なんで俺なんかを逃がすんですかい…?」
「はあ?なんでってなんでだよ?」
余裕の無い俺は少し強い口調で聞き返す。
少年は俯き黙り込んでしまった。
コイツはプライドが高ぇんか?
…そういう風には見えねぇーけどな。
何か理由があるんだろうけど聞いている暇はねぇみてーぇだ。
〈ギェエエエエエ!!〉
「っ!…しまっ、た」
俺の体を貫いた化け物の腕からボタボタと血が滴り落ちる。
っくそ…まだ少年が逃げていねぇのに…
このままじゃ…
――諦めたら駄目よ――
「!!」
頭の中に鳴り響く声。
その声を聞いて不思議と力が湧きあがる。
そうだな…諦めるわけにはいかねぇーよな。
何が何だか分からないまま終わらせてたまるか!
全ての力を込めて化け物を斬る。
〈グゲェアアアアアアアアア!!!〉
悲鳴を上げながら崩れ落ちる化け物。
「へへっ…今のは効いた…だ、ろ…」
「!」
力を出し切った俺はその場に倒れる。
薄れゆく意識の中泣きそうな少年の顔がぼんやりと見える。
俺の意識はここで途絶えた。
誰かが俺の頭の中で呼びかけている。
綺麗で優しくて…どこか懐かしい声。
――これから辛いことが沢山あるでしょう。でも決して諦めては駄目。貴方の…で……のよ…――
途切れていく言葉の中で俺は目を覚ました。
「…?!」
目を覚ますとそこは見たことのない場所だった。
辺りを見渡すと緑豊かな樹ばかり。
なんだか孤島の森林に似ているけどそことは違うみてぇだ。
「うにゃ…」
そして見覚えのない少年が隣で眠っていた。
オレンジの髪に左目尻にある星のステッカー。
服のデザインにも所々星が描かれている。
そうかそうか…星が大好きなんだな。
「…って、そんなこと考えている場合じゃねぇ!
おい、起きてくれ」
何が何だか分からない俺は気持ちよさそうに眠っている少年を揺さぶった。
すると少年は眠たそうに重い瞼をゆっくりと開けた。
「…うぅ…何ですかい?」
「気持ちよく眠っている時に悪ぃがここはどこだ?」
「ここですかい?…んー…どこなんでしょうか…」
キョロキョロと辺りを見渡し、困ったような顔をして悩む少年。
どうやら少年も今の状況が分かっていないみたいだ。
「そういや、貴方は誰ですかい?」
「あぁ、俺はデイタだ。…お前は?」
「俺は…誰なんですかいね?まあ、俺のことは適当に呼んでくだせぇ!」
「適当にって……?」
あっさりしている少年を困惑した目で見る俺。
すると草陰が動き大きな影が俺たちの前に現れた。
〈ギェエエエエ!〉
「「!!」」
その影の正体は人間と鳥を合わせたような化け物だった。
恰好の獲物を狙う野獣みたいな目で俺たちを見る。
「っふ…ここは任せてくだせぇ」
「…お前戦えるのか?」
余裕の笑みを俺に向ける少年。
俺は黙って少年の勇姿を見守ることにした。
「ラッキーパーンチ☆」
少年は右ストレートを化け物に喰らわせた。
攻撃が当たるとともに星の形をした光が飛び散る。
〈…ギェ?〉
が、化け物には全然効いていないみたいだ。
「これはおかしいですぜい」
「そうだな。結構大技ぽかったのにな」
「…すいやせん…鳥ちゃんになら勝てると思ったんですが…」
俺の後ろに隠れながら言う少年。
おいおい。あれのどこが鳥ちゃんなんだ?
どこからどう見ても強そうな化け物オーラがプンプンしてんじゃねぇか。
心の中でぼやきながら太刀を構える俺。
化け物も身構えて戦闘モードに切り替わった。
「はぁっ!」
〈ギェアアアアア!〉
「っぐ?!」
俺の攻撃を避けずに攻撃を繰り出す化け物。
化け物の攻撃を太刀で受け止める。
斬られても動じない…
コイツには痛覚がねぇーのか。
こりゃ厄介な相手だぜ…
「はぁ…はぁ…」
長く続いている攻防戦に俺の体は限界を迎えていた。
化け物の体もボロボロのはずなのに勢いが緩まない。
「おい…逃げろ…」
「…え?」
勝てる保証が無い俺は少年に逃げるように促した。
しかし、少年は不思議そうな顔で俺を見ていた。
「なんで俺なんかを逃がすんですかい…?」
「はあ?なんでってなんでだよ?」
余裕の無い俺は少し強い口調で聞き返す。
少年は俯き黙り込んでしまった。
コイツはプライドが高ぇんか?
…そういう風には見えねぇーけどな。
何か理由があるんだろうけど聞いている暇はねぇみてーぇだ。
〈ギェエエエエエ!!〉
「っ!…しまっ、た」
俺の体を貫いた化け物の腕からボタボタと血が滴り落ちる。
っくそ…まだ少年が逃げていねぇのに…
このままじゃ…
――諦めたら駄目よ――
「!!」
頭の中に鳴り響く声。
その声を聞いて不思議と力が湧きあがる。
そうだな…諦めるわけにはいかねぇーよな。
何が何だか分からないまま終わらせてたまるか!
全ての力を込めて化け物を斬る。
〈グゲェアアアアアアアアア!!!〉
悲鳴を上げながら崩れ落ちる化け物。
「へへっ…今のは効いた…だ、ろ…」
「!」
力を出し切った俺はその場に倒れる。
薄れゆく意識の中泣きそうな少年の顔がぼんやりと見える。
俺の意識はここで途絶えた。