このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第1章 旅の始まり

「こら、デイタ!立たぬか!!寝るな!!」

地面に倒れている男に向かって怒鳴るクセのある黒髪の少年(?)。

「…ごほっ…アンタ手加減ってのを知らねぇのか?」

苦しそうに咳込みながらもゆっくりと立ち上がる緑色のバンダナの男。

そう…この男の名はデイタ。
幼い頃からこの孤島に住んでいて毎日クセ毛の少年(?)に鍛えられているのである。
歳は20歳で筋肉質な体質である。
緑色のバンダナと黒の十字架のネックレスをいつも身に着けている。
ちなみにヨウカンが大好き。
ヨウカンのことになると我を失う程に。

「何を甘ったれたことをぬかしているのだ。お前の攻撃がワシに当たるまでメシは抜きじゃからの」

「…お前のその言葉のせいで俺は何日もメシを食えてねぇーんだぞ」

ぬははと陽気に笑うこのクセ毛の男はデイタの師匠である。
名前は誰にも教えない主義らしい。
外見は10代だが中身は1000歳を普通に超えている年寄なのだ。
本人曰はく外見が良ければ全て良し、らしい。
なので何故そんなに生きていられるかは誰にも教えない。

「大丈夫だ。ワシもお前に付き合ってやってるからメシ食えてないぞ」

「だからよぉ…そういう問題じゃねぇーだろ!お前の修行のつけ方がおかしいって言ってんだぶひゅ!」

「あー…誰のおかげでここまで大きくなれたっと思っているんじゃろうな…」

デイタの顔面に思いっきり蹴りを入れながらも泣く真似をする師匠。
もう体力が限界だったデイタはこの蹴りによって力尽きてしまった。

「…っうぅ……」

「おぉー…デイッター大丈夫か?」

あれから気絶していたデイタは師匠によって自分の部屋に連れ戻されていた。
呆れた顔でデイタの顔を覗き込んでいるこの女はホウノである。
蒼い髪と鋭い目が特徴的である。
性格は男勝りな上に怪力なので周りの者からは男としか見られない。

デイタは師匠とホウノのこの3人でこの孤島に暮らしている。
毎日騒がしい2人に付き合わされているのである。

「…メシくれ」

「あぁ…わりぃ。腹減ってたから家にあるメシ全部食っちまった」

はははと朗らかに笑うホウノ。
腹が減って仕方ないデイタはその言葉を聞き力なくまたベッドに倒れこむ。

「…お前な…メシ程大切なもんはないだろ?」

「うん」

「………。」

「あはは。睨むなよー。ほら、師匠にヨウカン作ってもらえばいいじゃん」

適当なことを言うホウノに呆れてデイタはまた眠りにつこうとした…が。

「おい!デイタァ!!食糧集めに行くぞ」

「…アンタ鬼だろ」

勢いよく開けられたドアから現れた師匠によって阻止されたのであった。
重い体を起こして師匠と一緒に森林にいく準備をする。



「うぉおおお!このキノコ美味じゃ!!ほれ、食うのじゃ」

「……ほんとだ。うめぇ」

デイタと師匠は食糧探しのために森林に来ていた。
この森林は食糧が豊富な上に気持ちもリラックスできるデイタの癒しの場でもある。

「…のう…デイタはこの孤島以外の世界を見てみたいと思うか?」

「…あ?いきなりどうしたんだよ」

食糧集めをしながら突然デイタに質問をする。
案の定デイタは頭に?マークを浮かべている。

「良いから答えるのじゃ」

「…まあ、見てみたいな。


この孤島では見られねぇヨウカンがあるかもしれねぇしな」

「…お前の頭はヨウカンのことしかないのか。この馬鹿者が」

どうやら師匠は真剣に聞いたらしいがデイタの間の抜けた返答に呆れていた。

「なあ、孤島以外の世界ってどんな世界なんだ?」

「うぬ…ワシら以外のヒトが沢山いて孤島以外で大切なことを知ることのできる世界…じゃな」

「大切なこと…?」

「まあ、お前にも分かる時が来るじゃろう」

そう言って師匠はデイタの頭を撫でた。

この孤島での師匠との会話はこれが最後となった。
これから先デイタはその言葉の真意を知ることとなるのであった…
1/5ページ
スキ