~輝りは影に憧れる~

 出会ってまだ数日。
 シャドウ・ザ・ヘッジホッグは、すでに疲弊していた。

 「シャドウって一日何時間寝てんの!? 肉って完全に焼く派?それともレア派?あ、カオスエネルギーってどうやって感じるの!? ていうか今日のジャンプ、かっこよすぎて鳥肌立ったんだけど!!」

 「……うるさい」

 返しても、止まらない。止まるどころか、加速している。

 ここ数日、街で見かければ付きまとわれ、カオスコントロールを見せれば真似をし、ジャンプすれば「ぴょーん!」と叫ぶ。
 全速力で逃げたことすらあるのに――あいつは、スケボーで追いついてきた。

 そのしつこさに加えて、何より不思議だった。

 なぜ、こいつは自分にここまで憧れるのか。

 まるで、最初から“決めていた”かのように、真っ直ぐに自分を見てくるこの少年。

 ある日、とうとうシャドウは、その疑問を口にした。

 「……どういう教育を受ければ、僕に憧れるようなやつができあがるんだ?」

 思わず漏れた呆れ混じりの問い。
 だが、ルミナスはぴたりと口を止め――少しだけ、笑って、答えた。

 「教育……っていうか、両親は……」

 言いかけて、ほんの一瞬だけ、声が詰まる。

 シャドウの視線が、わずかに鋭さを増した。
 その空白の“間”を、彼は見逃さなかった。

 けれどルミナスはすぐに笑顔を作り直して、
 胸を張るように、答えた。

 「……昔、事故で亡くなったんだ。でもさ」

 そして――

 「そのときに見たのが、シャドウだったんだ。」

 「火の中に立ってて、すごく……怖いくらい強くて、でもカッコよくて……。
  ……きっとあれが“ヒーロー”なんだって、思った」

 シャドウは、眉ひとつ動かさなかった。
 けれど心の奥で、何かが、わずかに軋む音がした。

 それが何の記憶かは、このときまだわからなかった。
 だがこの少年は、自分の知らない“過去の自分”を、
 ヒーローだと信じて、追いかけている。

 その事実だけが、シャドウにとって───
 少しだけ、息苦しかった。
 そして、なぜか……目を逸らせなかった。
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オリソニ豆知識図鑑