~輝りは影に憧れる~

それからというもの、シャドウの日常は一変した。

 学校終わり、街角、公園、果ては高層ビルの屋上まで。
 どこから嗅ぎつけるのか、ルミナスはほぼ毎日のように現れてはシャドウの後をつけ、質問を浴びせかけた。

 「どうすれば強くなれる!?」
「一日何回腕立てすればいい!?」
 「カオスエメラルドってどこに売ってる!?」
 「一日何時間寝てるの!?」
 「食事は!?何食べたら強くなれるの!?」
 「集中する時のルーティンは!?気合い!? 精神統一!? やっぱ瞑想!?」

 シャドウはそのたびに、
 
 「……落ち着け」
 「……知らん」
 「……何処にも売ってない」

 と淡々と受け流し、時に小さくため息をついた。
 
 だが、いつしか彼の足音にルミナスのものが加わるのは、シャドウにとって“日常の一部”になりつつあった。

そんなある日、街角の交差点で、風を裂く音とともにひとりの青いハリネズミが現れた。

 「お?シャドウ、お前何処からこんな子供を連れ出したんだ?見かけない顔…いや、若干俺に似てなくも?」
 その声は、どこまでも軽快で、そして真っ直ぐだった。

「連れ出していない。勝手について来るだけだ。」
 
 「ふーん?よぉ、小さな相棒!俺はソニック。ソニック・ザ・ヘッジホッグだ。お前は?」

 瞬間、待ってました!とばかりにルミナスの目がきらきらと輝く。

 「僕はシャドウ! シャドウ・ザ──」

 その名を言い切る前に、ぴしゃりと小気味いい音が響いた。
 シャドウが軽く手を伸ばし、ルミナスの頭を叩いていた。

 「……本名を名乗れ」

 「……ルミナス…・ザ・ヘッジホッグです……」

 不満げに頭を押さえるルミナス。
 だがソニックはというと、あっけらかんと笑って親指を立てた。

 「そうか! よろしくな!小さなシャドウ!」

 「……!! そう! 僕はシャドウ!!」

 顔をぱぁっと輝かせるルミナス。
 しかし隣から、氷のように冷静な声がすぐに飛んできた。

 「……違う。こいつは僕じゃない、明らかなフェイクだ。」

 「うぐっ……」

 撃沈するルミナスに、ソニックは苦笑しながらも面白がっている様子だった。

 「ハハッ、こいつは元気でいいな。お前の弟分か、シャドウ?」

 「……違う。勝手に名乗ってるだけだ」

 そう言いながらも、シャドウの声にはほんのわずか、棘の取れた柔らかさが混じっていた。

 その日もルミナスは、シャドウに怒られながらも、満足げにソニックに手を振り、「また明日なー!」と叫びながら駆けていった。

 ──そう、彼は信じている。
 自分は“シャドウ”になるのだと。
 いつか、その名にふさわしい強さと意味を持つ日が来ると。
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オリソニ豆知識図鑑