このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

~輝りは影に憧れる~

──────沈黙。

 その場にいた三人、それぞれがその言葉を聞き、わずかに表情を動かした。

 最初に反応したのは、目の前のキツネの少年だった。
 少しだけきょとんとしたあと、すぐに表情をやわらげ、ふわっと笑った。

 「僕はマイルス・パウアー。……"テイルス"って呼んで。よろしくね、ルミナスくん」

 その笑顔は、何の先入観もなく差し出された"はじめまして"だった。

 一方、そのやりとりを後ろから見ていたソニックは、すぐに口を開くことはなかった。が、

 「……?」

 ほんの一瞬だけ眉をひそめる。

 それは、小さな違和感。
 彼の記憶の中では、あの少年は間違いなく元気に名乗った。

 『僕はシャドウ! シャドウ・ザ・ヘッジホッグ!』

 ───笑顔で、誇らしげに。

 なのに今、その名前を出す素振りすら見せなかった。

 (……あれ? "シャドウくん"じゃなくなったのか?)

 ソニックは、曖昧なままシャドウに一瞬視線を移した。

 シャドウは、何も言わなかった。

 ただ、壁に寄りかかったまま、腕を組み、無言でルミナスの姿を見つめていた。

 その赤い瞳に宿るのは、静かな鋭さ。

 あれほど頑なに、自分を"シャドウ"と名乗り続けた少年が────今、その名を口にしなかった。

 声も表情も取り繕っていたが、
 その"一言"だけで、何かがあったのだと理解するのは容易だった。

 だが、シャドウの目にはその選択が誇りを下ろしたのか、それとも傷を隠したのか────曖昧なまま残った。
24/25ページ
オリソニ豆知識図鑑