このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

~輝りは影に憧れる~

仮眠室の中、雨音が遠くなった気がした。

 ルミナスのまぶたが、ゆっくりと震え──ぱちりと開いた。

 湿った空気、見慣れない天井、そして知らない部屋の匂い。
 全身に残る泥の冷たさと、ふわりと掛けられた温かなタオルの感触。

 次の瞬間────ルミナスは跳ね起きた。

 「っ!!」

 勢いよく上半身を起こし、周囲を見回す。
 隻眼が戸惑いに揺れるその前に、優しく微笑む小狐がいた。

 「やっと目が覚めたね。よかった、君の名前、聞いてもいいかな?」

 その柔らかい声に、ルミナスの目が丸くなる。
 こんな場所、知らない。こんなやつ、見たことない。
 でも、そんなことより───

 「僕はシャド──」

 言いかけた。いつものように。
 名乗ろうとした。

 だが、その瞬間。

 "うざ、話しかけんなよ"
 "シャドウなんだろ?孤独でいろよw"
 “ヒーロー気取り”

 あの教室で投げつけられた言葉が、脳裏にこだました。

 言葉が、喉の奥で止まる。

 「……ぁ……」

 口元が歪む。
 目の奥がにじみそうになる。

 けれど──崩れてはいけない。
 崩れてしまったら、もう立てない気がして。

 だから、笑う。無理やり、歪んだまま。

 「……俺………俺はルミナス。ルミナス・ザ・ヘッジホッグ。」

 言葉の最後、かすかに震えていた。

 「お前は?」

 そう言いながら、隻眼の奥の笑顔を、必死に保っていた。
23/25ページ
オリソニ豆知識図鑑