~輝りは影に憧れる~

 放課後、友人たちと笑い合いながら家路につく。
 
 くだらない話題からふと、“家族”の話へと流れていった。
 ルミナスは、小さく笑いながらも、心の奥に冷たい影が差すのを感じた。
 
 ──父さんと母さんは、もういない。

 まだ物心がつくかどうかという頃、彼は事故に遭った。朧気ながらも頭に焼きついて離れない記憶がある。

 金属が砕ける音。何かがぶつかった衝撃。自分の体が宙を舞い、地面に叩きつけられ、次に目を開けたとき、自分はアスファルトの上に倒れ、目の前の両親は動かなくなっていた。
 
 そして──燃え盛る車の上に、ひとり立っていた“黒いハリネズミ”。

 闇のような体毛に、鋭く跳ねたトゲの毛。
 その姿だけが、不思議なほど鮮明に焼きついていた。

 炎と煙。耳鳴りの中で、ただその姿だけが、異様に鮮明に残っている。

 だが不思議と、恐怖はなかった。
 心を満たしていたのは、幼いながらに募った一つの感情。

 彼はきっと、あの炎の中、両親を失った自分を──生かし、助けてくれたヒーロー。

 そうでなければ、あの時自分も手にかけられ死んでいたに違いない。

 そんなことを思いながら、クラスの友人と別れ、一人歩いていた、その時だった。

 風が、一瞬だけ逆巻く。
 何かが目の前に現れた気配に、ルミナスは顔を上げた。

 胸が一気に高鳴る。脳裏に浮かんだあの夜の景色と、目の前の現実が重なる。

 黒い体毛。赤い瞳。風を切って現れたその姿は、あの記憶と寸分違わぬものだった。

 思考よりも先に、言葉が口を突いた。

 「……っあの……!!」

 ルミナスは拳を握りしめ、小さな体を震わせながら、目を逸らさずに言った。

 「俺……!!」

 「あなたになりたい!!」

 夕暮れの風が止まる。世界がその言葉に耳を傾けたように感じられた。

 「どうしたら……あなたになれる……!?」

 幼いながらに必死で、真っ直ぐだったその声は、シャドウ・ザ・ヘッジホッグの瞳をわずかに揺らした。
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オリソニ豆知識図鑑