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~輝りは影に憧れる~

「……あ……あれ……うまく走れないや。」
 ルミナスの声が震えていた。笑顔を崩すまいと、必死に口元を吊り上げながら、まるで自分に言い聞かせるように続ける。

 「雨だからかな……でも、雨の中でも力を発揮できなきゃだよな! "シャドウ"になるんだもん、こんなのに負けて──」

 ズキンッ 

 右眼に、鋭い痛み。
 先程よりも、明らかに強い。
 何も見えないはずの眼が、何かを訴えるようにうずく。

 「……っ、あ……っ!」

 走る足がふらついた。
 けれど、止めない。止まりたくなかった。

 止まったら、全部崩れてしまいそうで。
 止まったら、もう、"ヒーロー"にはなれない気がして。

 雨で濡れた足が、思い通りに動かなくなる。
 次の瞬間──

 ガッ───!

 足がもつれ、身体が前のめりに倒れる。
 手も出せず、顔から地面に叩きつけられた。

 「……っ、う……」

 泥と雨に濡れた顔を上げようとしたその時。

 目の前に、黒い影が立っていた。

 自分が倒れた位置に、まるで"守る"かのように立ちはだかるその存在。

 ───シャドウ。

 いつの間に、とは思わなかった。
 でも"来てくれる気がしていた"わけでもない。

 ただ、そこにいるのがあまりにも自然すぎて、
 ルミナスは言葉を飲んだ。

 そして、その静かな声が降りてくる。

 「……"特訓"は……もう終わりだ。」

 雨が、静かに、音を立てて降り続いていた。
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オリソニ豆知識図鑑