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~輝りは影に憧れる~

その背中は──思いのほか、すぐに見つかった。

 街外れの公園。人気のない、小さな坂道の片隅。
 雨は先ほどより強くなっていた。

 濡れたアスファルトに小さな足跡が続き、
 その先で、ルミナス・ザ・ヘッジホッグは、じっと立ち尽くしていた。

 スケボーは手に持たれているだけ。
 俯いた背中が、小さく震えているように見えた。

 ──そんな姿を見るのは、初めてだった。

 カオスコントロールの閃光が消え、シャドウがその場に現れる。
 濡れることも厭わず、静かに立つと、ルミナスは気配に気づき、はっと顔を上げた。

 そして───

 一瞬だけ、振り返ったその表情が崩れたように見えた。
 涙か雨か、それともただの錯覚か。

 だがすぐに、ルミナスは無理にでも口角を上げ、
 いつもの笑顔を作ってみせた。

 「……シャドウ!! 今日も特訓してくれるんだろ!」

 無理やり明るい声。
 それはまるで、"いつも通り"を演じるための言葉だった。

 そして、そんな約束をした覚えはない。と言おうとしたシャドウの返事も待たずに、走り出す。

 「カオスコントローールッ!!」と叫びながら、
 泥水を跳ね上げ、スケボーにも乗らずに、濡れた靴で駆けていく。

 ──いつもなら、それはただの"おかしな日常"だった。

 だけど今は違う。

 その走りには、力がない。
 背中は丸まり、足取りも不安定。
 いつもの無敵な"自己演出"が、剥がれかけた仮面のように見えた。

 シャドウは動かず、その背を見つめ続ける。
 雨音の中、その沈黙だけが、彼の感情を物語っていた。

 (……なぜ、お前がそこまでして笑う必要がある)

 強くもない。カオスコントロールも使えない。
 ヒーローでもないし、まだ何者でもない。

 だが、走っている。濡れながら、必死に。

 それでもまだ、"シャドウになろうとしていた"。
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オリソニ豆知識図鑑