このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

~輝りは影に憧れる~

嫌な予感は、残酷なほど正確に的中した。

 いつものように、授業中。
 先生がルミナスの名前を呼ぶ。

 「ルミナス、これはどうかな?」

 「はいっ!」

 元気よく立ち上がり、ハキハキと答える。
 正解だった。先生も笑顔で頷く。

 だがその直後──

 ………………クスクス……

 教室の隅から、微かな笑い声。
 消しゴムを落としたふりで机の下に身を伏せた男子が、こそこそと、ルミナスの口調や仕草を真似している。

 「はいっ!」
 「カオスコントローッル☆(ひそ声)」

 すぐに何人かが俯き、肩を揺らして笑いを堪える。
 先生は気づかない。けれど、ルミナスの耳には、全部聞こえていた。

 教室の温度が、肌に触れた空気が、わずかに冷たく感じる。

 (……気のせい……じゃない)

 そして休み時間。
 ノートを閉じて、普段通りに声をかける。

 「なあ、今の問題むずかったよな! ね、いっしょに確認しない?」

 返事は、ない。

 「なあ、外でちょっと走らな──」

 すれ違いざまに肩が当たる。誰も「ごめん」とは言わない。

 「……あ、あのさ…」

 別の子にも声をかける。
 だがその目は、明らかにルミナスを見ないようにしていた。

 無視。無視。無視。

 まるで、ルミナスという存在だけが、透明になってしまったかのように。

 つい昨日まで一緒に笑っていた子たちが、
 スケボーのトリックに拍手を送ってくれていた子たちが、
 今は、目も合わせてくれない。

 (……なんで?)

 胸の奥が、ひどく冷たい。
 あれほど全力で走った放課後が、今は遠い夢のようだった。

 ルミナスは、小さくスケボーを抱えなおす。
 片目の奥で、何かが少しだけひび割れる音がした。
14/25ページ
オリソニ豆知識図鑑