~輝りは影に憧れる~
ルミナス・ザ・ヘッジホッグは、ひとりホバーボードを操り、滑るように街を走っていた。
風を抱きしめるように。
ブースターの音を抑え、音もなく、アスファルトの海を自由に漂う。
信号のない交差点、遊歩道、並ぶカフェのテラス──
通りすがる獣人たちをスレスレでかわしながら、楽しげにしつつも彼は通行人の小さな歓声に一切のリアクションを見せなかった。
ただ、美しく。機械のように正確に。
スロープを使って跳ね上がり、空中でひねる。
トリックを決めるその瞬間、ルミナスの表情はふと、変わっていた。
笑っていない。
喜んでもいない。
まるで“何も考えていない”。
重力を無視したその姿は、自由を超えて、何かから切り離された存在のようだった。
けれど、滑らかに着地し、顔を上げたその瞬間───
「楽しい」顔に戻っている。
にこにこと、無邪気に、いつもの笑顔。
……そんな様子を、ある日屋上から眺めていたシャドウは、
やがてルミナスが静かな通りに入ったところで、無言で地に降りた。
そして、さりげなく言った。
「……お前は跳ぶ時、時折空中で、笑っていない時があるな」
その言葉に、ルミナスは一度、ぽかんとした顔を見せたあと、少し照れくさそうに笑った。
「……え? そう? 気にしたことなかった」
無邪気に肩をすくめて、ホバーボードを指先でつつく。
「……そんなに表情、ない?」
その瞬間のルミナスの顔は、どこか“無”に近かった。
感情のスイッチが切れたように、静かで、奥が深くて、遠い。
「………楽しいか?跳ぶのは」
シャドウの目をまっすぐに見ながら、にこっと笑った。
「……楽しいよ、俺は。」
その声に偽りはなかった。
“楽しければ、それでいい”───それが、ルミナスの本質だった。
事件であっても。危険でも。命がけでも。
“楽しめるなら正義”、そんな割り切り。
だがそれは、薄情でも無関心でもない。
楽しくないことは嫌い。
悲しいことはちゃんと悲しいし、悲しんでる誰かを放っておけない。
基本、手は出さない。
そう自分に言い聞かせている。
でも、もし「出していい」と誰かが言ったなら──
彼は、確実にそれを“できる”一線に立っている。
まだ幼い。けれど、どこか距離を保ちつつ人懐っこく、ひどく優しい子ども。
そんなルミナスを見て、シャドウはふと思う。
(……ソニックも、似たようなものだ)
“楽しければ、事件を歓迎するタイプ”───その感覚を、確かに彼も持っていた。
ただ、ルミナスはソニックよりずっと静かで、ずっと繊細だ。
そして、また走り出す。
風を切って。跳ねて。笑って。
その空中でふと無になる刹那に、
──彼は何を、感じているのか。
シャドウはまだ、それを知らない。
風を抱きしめるように。
ブースターの音を抑え、音もなく、アスファルトの海を自由に漂う。
信号のない交差点、遊歩道、並ぶカフェのテラス──
通りすがる獣人たちをスレスレでかわしながら、楽しげにしつつも彼は通行人の小さな歓声に一切のリアクションを見せなかった。
ただ、美しく。機械のように正確に。
スロープを使って跳ね上がり、空中でひねる。
トリックを決めるその瞬間、ルミナスの表情はふと、変わっていた。
笑っていない。
喜んでもいない。
まるで“何も考えていない”。
重力を無視したその姿は、自由を超えて、何かから切り離された存在のようだった。
けれど、滑らかに着地し、顔を上げたその瞬間───
「楽しい」顔に戻っている。
にこにこと、無邪気に、いつもの笑顔。
……そんな様子を、ある日屋上から眺めていたシャドウは、
やがてルミナスが静かな通りに入ったところで、無言で地に降りた。
そして、さりげなく言った。
「……お前は跳ぶ時、時折空中で、笑っていない時があるな」
その言葉に、ルミナスは一度、ぽかんとした顔を見せたあと、少し照れくさそうに笑った。
「……え? そう? 気にしたことなかった」
無邪気に肩をすくめて、ホバーボードを指先でつつく。
「……そんなに表情、ない?」
その瞬間のルミナスの顔は、どこか“無”に近かった。
感情のスイッチが切れたように、静かで、奥が深くて、遠い。
「………楽しいか?跳ぶのは」
シャドウの目をまっすぐに見ながら、にこっと笑った。
「……楽しいよ、俺は。」
その声に偽りはなかった。
“楽しければ、それでいい”───それが、ルミナスの本質だった。
事件であっても。危険でも。命がけでも。
“楽しめるなら正義”、そんな割り切り。
だがそれは、薄情でも無関心でもない。
楽しくないことは嫌い。
悲しいことはちゃんと悲しいし、悲しんでる誰かを放っておけない。
基本、手は出さない。
そう自分に言い聞かせている。
でも、もし「出していい」と誰かが言ったなら──
彼は、確実にそれを“できる”一線に立っている。
まだ幼い。けれど、どこか距離を保ちつつ人懐っこく、ひどく優しい子ども。
そんなルミナスを見て、シャドウはふと思う。
(……ソニックも、似たようなものだ)
“楽しければ、事件を歓迎するタイプ”───その感覚を、確かに彼も持っていた。
ただ、ルミナスはソニックよりずっと静かで、ずっと繊細だ。
そして、また走り出す。
風を切って。跳ねて。笑って。
その空中でふと無になる刹那に、
──彼は何を、感じているのか。
シャドウはまだ、それを知らない。
