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~輝りは影に憧れる~

「またなー!!」

 夕焼けに包まれた街角で、ルミナスはスケボーを小脇に抱え、同級生たちに手を振って駆けていく。
 背を向けると同時に、スッとボードを地面に落とし、乗り込む。
 滑るように風を受け、交差点をひとつ、またひとつと越えていく。

 だが、そのスピードは──
 彼の本気の速度ではなかった。

 抑えられた力。流れる風景。
 気持ちよさそうに走ってはいるが、その背中はどこか、少しだけ静かだった。

 一方、彼と別れた同級生たちの輪の中には、微妙な空気が流れていた。

 「……ルミナスって、さ」
 「うん、ちょっと“イタい”とこあるよな」
 「“僕はシャドウ!”とか言ってさ。マジでなりきってんの?アレ。」

 冗談めかして笑う声。
 だがその中に、にじむような悪意と、冷ややかさがあった。

 ついさっきまで彼に歓声を上げていたその口が、今は嘲りへと変わっている。
 羨望と称賛が、“揚げ足”と“標的”へと姿を変えるのは、ほんの一瞬。

 「足は速いけどさ、調子に乗ってるっていうか、さ……」
 「ヒーロー気取りっていうか……あれ、本気で思ってんのかな?」

 誰もそれを止めない。ただ、流れに乗るように笑いが重なる。
 空気は、じわりと濁っていく。

 風を切って走るルミナスは、そんな空気を知らずにいた。
 街灯の光が伸び始め、夕闇が足元に忍び寄ってくる。

 スピードを落としたまま、彼はただ、ひとり走る。
 “誰かの背中”を追うように。
 
 背を向けられていることに、まだ気づかずに。
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