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第一章 壊滅する秩序

 疾風のように踏み込むシャドウの拳がフェイリャの胸元を貫く――かに見えたその瞬間。

「…な…っ……⁉」

 手応えがない。指先が貫いたのは、どろりと融けるように変形した肉体。

 フェイリャの身体が部分的に液状化し、シャドウの攻撃をいとも容易く躱していた。


 一瞬の隙を逃さず、フェイリャの足が唸りを上げる。回し蹴りが、シャドウの脇腹を抉るように打ち込まれた。

「ぐッ……!」

 重い。
 
 一撃一撃に、破壊の意志が籠もっている。

 容赦も、迷いもない。まるで命を刈るためだけに計算されたような、精密かつ残酷な動き。

 重装備をしていなければ、或いはシャドウでなければ、普通の人間なら確実に肋骨を砕いていた。

 シャドウは後方にバク転で距離を取り、息を整える。

「……カオス…ッ…スピアーッ!」

 エネルギーが光の矢に変わり、目の前の敵を貫かんと一直線に放たれる。

 その間にも、フェイリャは感情の欠けた真紅の瞳でただ静かに立ち、液体の様に揺らめく身体は、光のエネルギーを躱していく。

 
 苦虫を嚙み潰したような表情のシャドウとは打って変わって。何事もない様子で立っている。何の表情も浮かべず、それでも確実に“殺しに来ている”と分かる殺気を放ちながら。

 空気が、再び張り詰める。

 次の一撃で、こちらが崩されれば終わる──

 だが、逃げる選択肢など、シャドウの中には初めから存在しなかった。
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オリソニ豆知識図鑑