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第三章 混沌の歯車

「………居場所を出すのに、そんなにかかるのか?」

 冷たい声が、再びモニター室に響いた。

 フェイリャ。
足音も立てずに背後に現れたその存在に、イーヴォ・ロボトニック───Dr.エッグマンの指が一瞬止まる。

「っ……」

 背筋を汗が伝う。
思わず咳払いをしながら、エッグマンは言葉を選ぼうとした

「……まあまあ、落ち着き給えよフェイリャ君。こういうのは確実に順序というものをだな……!」

「人間というのは、面倒くさいものだな。」

 赤い瞳が、静かにエッグマンの手元の端末を見据える。

「……感情に任せた行動は選択を狭める」

 言葉の温度は変わらない。けれど、その中に込められた意志は明白だった。

「時間稼ぎのつもりなら、やめておいた方がいい。」

 ぺた……ぺた……とまた、ゆっくりと近づく足音。

「俺は、お前の手を借りずとも──その程度の機器ならば、扱える」

 そして、モニターの端末を一瞥しながら続ける。

「"協力者"としての……忠告だ。」

 その目は、脅しではない。命令でもない。
"シャドウと同等の力を持つ恐れのある者"がただ、"当然の理"を告げているだけ。

 だからこそ──異様に重い。

「……わ、わかった、わかった! そう急くな! 今すぐ、出す……出すとも!」

 エッグマンは慌てて端末に手を伸ばし、すでに解析していた仲間たちの信号を呼び出す。

「ここにいる……座標も添えてある。飛行メカも出す! だから、機嫌を損ねるなよ、フェイリャ君!」

 エッグマンが震える手で端末からデータメモリを引き抜き、慎重に差し出す。

 その瞬間──

 フェイリャはその手から素早くメモリを"奪い取った"。

 まるで奪うこと自体が当然であるかのように、指先で軽くそれを弾き、手の中に収める。
 その動作は、速く、そして滑らかだった。
無駄が一切なく、まるで"不要なやり取りすら排除する"という意志が滲んでいた。

エッグマンが息を飲む中──

「………正しい選択だ。だが、遅い。」


 そう言い残し、フェイリャは一度も振り返らず、静かに背を向けて歩き出す。

 ぺた……ぺた……と、異質な足音だけがモニター室に残されていく。

 扉が自動で開き、彼の影が廊下に吸い込まれるように消えていった。

 ただ、残されたのは沈黙と、ぞわりと肌を撫でる冷たい空気だけ。

「……まったく……"協力者"だなんて、笑わせてくれるわい……あんなの……爆弾を手の中に抱えてるようなもんじゃあないか…あの爺…シャドウといい随分と恐ろしいもんを作ってくれる。」

 エッグマンは椅子に崩れ落ちるように座り込み、額の汗を拭った。
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オリソニ豆知識図鑑