第三章 混沌の歯車

──────僕は、何を守れたのだろうか。

 GUNは壊された。
あの兵士たちも、誰一人、救えなかった。

 フェイリャ……奴は僕と同じ場所から生まれて、
同じ世界を見て、同じ"光"を求めていたのかもしれない。
だが───奴は歪んだ。

 いや、違う。
歪めたのは、世界か。それとも……僕か。

 マリアの顔で、マリアの声で、僕を否定した奴の言葉が、
今でも、頭から離れない。

───「お前が壊したんだ、彼女の未来を」

 ……そうかもしれない。
 僕がGUNに手を貸したのは、あの日の罪から逃れたかったからか?
 ……マリアの願いを、なぞっていたつもりだったのか?

───答えなんて、出るはずがない。
僕は、兵器として生まれて……それでも"生きる"ことを選んだ。

 奴もまた、生きていた。
あの狂気の中で、奴なりに───マリアを想っていたのかもしれない。

それでも、そうだとしても───

 僕は譲れない。
守りたいものがある。信じたい未来がある。

……それが、僕の生きる意味贖罪と使命なのだから。
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