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第三章 混沌の歯車

「さっさとエメラルドの場所を吐け。」

「お生憎。オレはエメラルドの場所は知らない。知ってても、言わないけどな。」
 
「とぼけるな。」

「嘘じゃない。俺は真面目だ。大真面目なハリネズミだぜ?」

「口が堅いという点は事実なようだな。痛い目を見れば話すか。…それとも、仲間を失えば話す気になるか?」

その言葉は、低く、淡々と───だが確実にソニックの胸を突いた。

その僅かな表情の変化を読み取ったのか
フェイリャは淡い目を細めたまま、無表情で続ける。

「イーヴォ・ロボトニックが言っていた。お前には、仲間がいると」

金属の床をぺた…ぺた…と歩きながら、ソニックの目の前に立つ。

「マイルス・パウアー。エミー・ローズ。ナックルズ・ザ・エキドゥナ。」

一人ひとりの名を、冷たい声でなぞるように並べていく。
そのたびに、ソニックの目に宿る炎がわずかに揺らいだ。

「お前は仲間を守ろうとするだろうな。"仲間のために"ってやつだ」

足元の拘束鎖が音を立てる。
フェイリャの足がソニックの肩を軽く押さえたまま、首をわずかに傾ける。

「……ソイツらの首でも見せれば、お前は吐く気になるのか?」

その問いは、冗談ではない。
完全な"手段"としての問いだった。

その言葉が、ナイフのようにソニックの胸を裂く。

「……っ!」

怒りが、血の味と共に込み上げる。
だが、踏みつけられた身体は反応しきれず、ただ苦悶の呼吸を漏らす。

フェイリャはその反応さえも、計算の一部のように見ていた。
まるで、感情というものを確かめる実験のように。

「……誰から奪われたい。」

「…仲間には手を出すな…!」

「選べ。」

「聞いてんのかよッ!!!」

それは、命を“数字”に置き換える者の目。
ソニックのように、仲間の命を信じ、託し合う者には到底容認できない――冷酷すぎる選択。

「……お前……本気で言ってんのかよ……!」

ソニックの声が低く震えた。
怒りと、恐怖と、拒絶がまぜこぜになったような声。

「……………冗談だと思うのか?」

その一言には、まるで氷を流し込むような冷たさがあった。
フェイリャの目に、嘲りも脅しも浮かんでいない。ただ、純粋な"実行の意志"だけがそこにあった。

「選べ。手遅れにならないうちに」

ぺた、ぺた、と音を立ててソニックの傍を一歩、また一歩と歩きながら、淡々と続ける。

「エメラルドの在処を吐くか……仲間を見殺しにするか」

言葉の合間に、フェイリャは掌をゆっくりと開いて見せる。
その指先に、ごく微かな黒い質感───融解の兆しがにじんでいた。

「お前は選んだはずだ。シャドウを助けるという選択を、計画を阻止するためにここに乗り込むという選択を。……なら、今回も選べるはずだ。仲間を捨て、エメラルドを守るかどうか。」

ソニックの目が揺れる。
激痛と疲労に滲む視界の中、それでもはっきりと見える"赤い瞳"。

冗談じゃない。
こんな奴に、選ばされてたまるか。

「……てめぇ……そんなことして……誰が、お前を……肯定するってんだよ……」

苦しげに、絞り出すように放たれた声。

フェイリャは、ほんの一瞬だけ目を細めた。
そして、言った。

「肯定なんてものは、最初から求めちゃいない。」
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オリソニ豆知識図鑑