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第三章 混沌の歯車

エッグマン基地──薄暗い格納エリアの一角。

 コンクリートと鋼鉄で囲まれた簡易拘束室。
そこに、青いハリネズミがいた。

 仰向けにされ、両腕は上で広げる様に拘束され、足首も重たいマグロックで固定されている。
その身体はまだ傷の痛みを訴え、意識も朧げなまま。

「……ん、く……っ……」

 呻き声を漏らしながらわずかに身じろぎしたその瞬間───

「ぐ……あっ!!」

 無慈悲な踏みつけが、容赦なく腹部に食い込む。
 
フェイリャの足だ。
彼は無言のまま、ゆっくりと力をかけてソニックを強引に目覚めさせた。

「……起きろ。"話"は終わってない。」

暗闇に響く、冷たく乾いた声。
その瞳には、いかなる怒りも、喜びもない。
あるのは──命令と処理。まるで機械のような、静かな圧。

ソニックは顔を歪めながらも、なんとか目を開ける。

「っ…随分な起こし方じゃねーか……踏みつけやがって……」

フェイリャは微動だにせず、そのままさらに力を込める。

「……お前には役割がある。"吐かせる"まで、生かすだけだ。」

「は、はっ……それで、?"役割"が終わったらオレは用済みでサヨナラお陀仏ってか……?」

「それ以外に何がある。」

即答だった。

 ソニックの歯が軋む。
その一言には、怒りも軽蔑も、命の重さすら含まれていない。
ただ"そうであるべき"という前提だけが、冷たく突き刺さる。

「……お前さ、本当に昔のシャドウと"似てる"な……でも……今のアイツは……そんな顔で、人を踏んだりしねぇ……」

「俺は"アイツ"じゃない」

食い気味に返す声。
フェイリャの表情がわずかに歪む。
口元が吊り上がるようにゆがみ、その奥にあるものが──狂気か、哀しみか、もはや判別できない。

「俺はフェイリャ。忘れられた、捨てられた"Failure失敗作"だ。究極生命体シャドウじゃない。だから───」



マグロックの鎖を踏み締め、金属の音が鳴った。

「アイツとは、違う。」

重たく、揺るがないその言葉が、室内に静かに響いた。

フェイリャの“正義”は、今まさに狂気の炎となって燃え広がろうとしていた。
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オリソニ豆知識図鑑