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第三章 混沌の歯車

───その頃、テイルスのラボ。

静寂を破るように、端末の通信モニターが何度も更新を試みては、同じ結果を返していた。

《通信不能》《応答なし》

「……おかしい……ソニックの通信に何の反応もない……!」

テイルスは椅子の上で何度も振り返りながら、指を忙しく動かす。
ソニックはエッグマン基地に向かって数時間。
一度も連絡がない。GPSの反応も途中で途絶えていた。

「まさか……エッグマンにやられた? いや、それだけなら何かしら信号を……!」

カオスエネルギーによる干渉も、別の強力なエネルギー反応も感知されていない。
だが、それが逆に異常だった。

「……これだけ何も無いって……あり得ない。何かが、"変"だ……!」

焦燥の混じる声で、テイルスは額に手を当てた。

そのとき――

「……ソニック…がどうした…?」

低く、けれどはっきりとした声が、背後から響いた。

「っ!…シャドウ!?」

振り返ると、シャドウがベッドに手をつき、ゆっくりと身体を起こしていた。
まだその身には包帯が巻かれ、治療装置のコードが数本繋がれている。
それでも──彼の目は、鋭く意識を取り戻していた。

「……何があった」

「えっ、いや……ダメだよ、まだ安静に──!」

「……もう十分休んだ。"まだ安静にしてろ"とでも言うつもりか?」

その言葉に、テイルスは口をつぐむ。

「……ソニックの、連絡が途絶えたんだ。」

「……場所は。」

「エッグマンの基地。でも……普通の反応じゃないんだ。カオスエネルギーの反応は無い。ソニックからの通信も、何もない。」

シャドウは沈黙したまま、わずかに拳を握り締める。

「……フェイリャが動いた、ということか。」

テイルスが椅子から立ち上がり、シャドウの元に歩み寄る。

「……シャドウ。今動けば、身体は……」

「構わない。」

即答だった。

「ソニックは……一人で行った。お前たちを守るために、…僕の問題だというのに。」

その言葉に込められた静かな怒りと、責任。
そして、強い意志。

「フェイリャは───僕が止める。今度こそ、必ず。」

「シャドウ……!」

「準備を頼む。迷っている時間はない。」

テイルスは一瞬だけ迷い──そして、頷いた。

「……わかった。すぐに機体を起動する。飛行経路と進入ルートは僕が指示するよ」

静かに、だが確実に動き出す"究極生命体"。

その赤い瞳は、もう迷っていなかった。
たとえ命を削ってでも───守ると決めたもののために。
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