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第二章 交差する思惑永い夜

 壁に叩きつけられながらも、立ち上がろうとするソニックを見下ろしながら、フェイリャの瞳がわずかに光を強めたその瞬間───

 「ストーップッ!!」

 けたたましいドアの開閉音と共に、しわがれた声が通路中に響き渡る。

 フェイリャが一瞬だけ足を止め、ゆっくりと振り向く。
その視線の先、モニター室の扉から飛び出してきたのは───

 Dr.エッグマン。
 
 ロングコートをはためかせ、両腕を振り回しながら駆け寄ってくる。

 「待て待て待てぇい!! フェイリャくん、今ここでコイツを壊すのはナシだ!」

 フェイリャの目が細められる。
その言葉に明確な敵意こそないものの、明らかな"疑念"が含まれていた。

 「……なぜだ。"邪魔"には変わりない。」

 「ふん、邪魔なのは認めるがな。だがコイツ───"ソニック・ザ・ヘッジホッグ"は、ただ速いだけのハリネズミじゃあないのだよ」

 エッグマンは鼻息荒く、手元のタブレットを操作しながら言葉を続ける。

 「コイツはな、カオスエメラルドの反応に"異常に敏感"なんだ。どこにあるのか感じ取れるらしい。ハリネズミのくせに!」

 「……つまり、生かしておけば役に立つと?」

 「その通り! 奴にエメラルドの在処を探らせて、すっかり吐かせてから、煮るなり焼くなり好きに料理すればいい。壊すのはその後でも遅くはないだろう?」

 フェイリャはしばし黙りこむ。
視線だけが再び、腹を押さえて立ち上がろうとするソニックに向けられる。

 彼の中に───利用価値がある。

 「……わかった。"壊す"のは、後回しにする。」

  「いい子だ! ワハハハハッ!」

エッグマンが満面の笑みを浮かべて手を叩く。

 「フェイリャくん、君のその冷静さと合理性!実に素晴らしい!さすがプロフェッサーの造った逸材だ!」

 だがフェイリャは、薄く言葉を返すだけだった。

 「……それはどうも。」

 その声は冷たく、壁のように感情を遮断していた。

 ソニックはまだ立ち上がりきれないまま、それでも口元に挑むような笑みを浮かべていた。

 「……オレを……利用? やれるもんならやってみな……」

 「………」

 フェイリャは何も言わず、静かにソニックを見たかと思えば。

 音さえ拒むかのように滑らかな動きで、
次の瞬間には、鋭く振り下ろされた踵がソニックの後頭部に直撃していた。

 「……ッぐ……!」

 鈍い音と共に、ソニックの身体が床に沈む。
痙攣のように一瞬だけ身体が跳ね、そのまま───意識が闇に沈んでいった。

 気絶。

 瀕死には至らない、だが決して甘くはない力加減。
フェイリャの瞳には、感情の波一つない。

 「……用済みまでは、生かすだけだ」

 倒れたソニックの背中───そのトゲを無造作に掴むと、引きずるようにして歩き出す。
ぺた……ぺた……と、あの音がまた金属の床に響く。

 ソニックの身体が、引き摺られながら通路に薄く血の筋を描いていく。

 その様子を見ながら、エッグマンはにやけ顔を保ったまま、背中にそっと小さく呟いた。

 「……まったく恐ろしい奴だ、まさに歩く災厄ってわけか。だがまぁ……利用できるうちは"。宝"だ。フフフ…ウハハハハ!」

 そしてフェイリャは、気絶したソニックを引きずったまま、
何のためらいもなく基地の奥深くへと消えていった。
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オリソニ豆知識図鑑