第二章 交差する思惑永い夜
基地内に響く異音───
金属製の床に似つかわしくない、ぺた……ぺた……と、靴音とは違う、湿ったような足音。
その音がエッグマンの背後に近づいた時、警報も、警備ロボも、セキュリティレーザーも───何一つ使い物にならなくなっていた。
「……!」
不快な違和感に、エッグマンが振り向くと、そこにはすでに"それ"がいた。
フードを深く被り、影に覆われた顔。
わずかに覗く肌も髪も、闇に塗れたように真っ黒。
それでいて瞳だけが、鈍く紅い光を放っている。
まるで、そこに"最初からいた"かのように、静かに立っていた。
「……俺を呼んだ?」
その声は感情に乏しく、それでいて、確実に"こちらの中身"を見透かしていた。
エッグマンが反射的に立ち上がる。
「誰じゃ! どうやってここに───!」
「レーザーフィールドは……邪魔だったな。融けて通ったから、意味はなかったが」
淡々とした答えに、エッグマンは思わず舌打ちした。
「……なるほど。なるほど……! まさか、GUNを壊したっていうのは……お前か?」
フェイリャは無言のまま、視線だけを動かす。
その先にあるのは───かつて自分を"失敗"と切り捨てた、ジェラルドの身内。
「イーヴォ・ロボトニック。プロフェッサーの血族だな。不快なほどに、よく似てる。」
「……ほう。ワシの名前を"フルで"呼ぶ奴なんて、久しぶりだな。プロフェッサーという事は───お前はまさか…」
その問いに、フェイリャの口元がわずかに吊り上がる。
「俺は、プロフェッサーが作った"失敗作"。"Failure"とレッテルを貼られ、記録からも消された存在だ。」
エッグマンが静かに目を細める。
「ほう……それで? そんな。"失敗作"が、どうしてワシの前に現れた?」
沈黙。数秒ののち、フェイリャは一歩だけ前に進んだ。
「……世界は腐っている。マリアが願った未来は、マリアを奪い置いていった。」
ぺた、ぺた───また、あの不気味な足音が近づく。
「けど……データを調べてお前の計画。見たよ、あれ。世界を奪い、作り変える───その理念、気に入った」
その声はあまりにも無感情だったが、確かに言葉には興味が宿っていた。
「協力してやってもいい。"イーヴォ・ロボトニック"」
エッグマンの唇がにやりと吊り上がる。
「フハハハハ! 面白いじゃないか!世界を奪うために、捨てられたモノ同士が手を組むとはな! よかろう、協力しようじゃないか! 共にこの腐った地球を征服するとしよう!!」
だがその時、フェイリャの瞳にだけ、言葉とは真逆の"静かな侮蔑"が揺れていた。
(……利用するだけだ。あの男から、知ってることをすべて聞き出す。俺の邪魔にならないなら、それでいい。)
「ふふ……そうだね。きっと、マリアも喜ぶ」
歪に微笑みながら、フェイリャは再び、ぺた……ぺた……と音を立てて歩き出す。
その背に向けて、エッグマンは豪快に笑い続けていた。
まさか、自身の計画の奥底に、今まさに"最悪の裏切り"が潜り込もうとしているとは知らずに───。
金属製の床に似つかわしくない、ぺた……ぺた……と、靴音とは違う、湿ったような足音。
その音がエッグマンの背後に近づいた時、警報も、警備ロボも、セキュリティレーザーも───何一つ使い物にならなくなっていた。
「……!」
不快な違和感に、エッグマンが振り向くと、そこにはすでに"それ"がいた。
フードを深く被り、影に覆われた顔。
わずかに覗く肌も髪も、闇に塗れたように真っ黒。
それでいて瞳だけが、鈍く紅い光を放っている。
まるで、そこに"最初からいた"かのように、静かに立っていた。
「……俺を呼んだ?」
その声は感情に乏しく、それでいて、確実に"こちらの中身"を見透かしていた。
エッグマンが反射的に立ち上がる。
「誰じゃ! どうやってここに───!」
「レーザーフィールドは……邪魔だったな。融けて通ったから、意味はなかったが」
淡々とした答えに、エッグマンは思わず舌打ちした。
「……なるほど。なるほど……! まさか、GUNを壊したっていうのは……お前か?」
フェイリャは無言のまま、視線だけを動かす。
その先にあるのは───かつて自分を"失敗"と切り捨てた、ジェラルドの身内。
「イーヴォ・ロボトニック。プロフェッサーの血族だな。不快なほどに、よく似てる。」
「……ほう。ワシの名前を"フルで"呼ぶ奴なんて、久しぶりだな。プロフェッサーという事は───お前はまさか…」
その問いに、フェイリャの口元がわずかに吊り上がる。
「俺は、プロフェッサーが作った"失敗作"。"Failure"とレッテルを貼られ、記録からも消された存在だ。」
エッグマンが静かに目を細める。
「ほう……それで? そんな。"失敗作"が、どうしてワシの前に現れた?」
沈黙。数秒ののち、フェイリャは一歩だけ前に進んだ。
「……世界は腐っている。マリアが願った未来は、マリアを奪い置いていった。」
ぺた、ぺた───また、あの不気味な足音が近づく。
「けど……データを調べてお前の計画。見たよ、あれ。世界を奪い、作り変える───その理念、気に入った」
その声はあまりにも無感情だったが、確かに言葉には興味が宿っていた。
「協力してやってもいい。"イーヴォ・ロボトニック"」
エッグマンの唇がにやりと吊り上がる。
「フハハハハ! 面白いじゃないか!世界を奪うために、捨てられたモノ同士が手を組むとはな! よかろう、協力しようじゃないか! 共にこの腐った地球を征服するとしよう!!」
だがその時、フェイリャの瞳にだけ、言葉とは真逆の"静かな侮蔑"が揺れていた。
(……利用するだけだ。あの男から、知ってることをすべて聞き出す。俺の邪魔にならないなら、それでいい。)
「ふふ……そうだね。きっと、マリアも喜ぶ」
歪に微笑みながら、フェイリャは再び、ぺた……ぺた……と音を立てて歩き出す。
その背に向けて、エッグマンは豪快に笑い続けていた。
まさか、自身の計画の奥底に、今まさに"最悪の裏切り"が潜り込もうとしているとは知らずに───。
