第二章 交差する思惑永い夜
叫び声が、静まり返っていたラボに鋭く響いた。
リビングのソファから飛び起きたソニックは、反射的に扉へと駆け出す。
「シャドウッ!!」
扉を乱暴に開け放ち、部屋の中に飛び込むと───
そこには、ベッドの上で頭を抱え、全身を震わせるシャドウの姿があった。
「おい……シャドウ!? どうした!?」
呼びかけにも反応しない。
目は虚ろに泳ぎ、額にはびっしりと冷たい汗。
喉から漏れるのは荒い呼吸と、かすれた呻き声だけ。
シャドウの心は、まだ夢の中───
マリアの死と、フェイリャの囁き、無力だったあの瞬間に囚われていた。
「やめろ……僕は……僕はもう過去には……!」
目を見開き、シャドウはベッドの端で身体を丸めるようにして震える。
拳を固く握り締め、爪が掌に食い込むほど。
「全部……違う……あれは……あれは……!」
ソニックは躊躇なく駆け寄り、肩を強く掴む。
「シャドウ!! しっかりしろ!!」
その声に、一瞬シャドウの目がソニックを捉える───だが、焦点は合っていない。
混濁した意識の中、敵と味方の区別すら曖昧なまま、呼吸がさらに乱れていく。
「くそっ……! テイルス! 早く!! シャドウが危ない!!」
リビングに響いたその声に、奥からテイルスが駆けてくる。
シャドウは今、悪夢と現実の境目で───壊れかけていた。
「シャドウ!! 落ち着けってば!! ここはアークじゃない、夢なんだよ!!」
ソニックの声が部屋に響き渡る。
それでも、シャドウの様子は変わらない。
混濁した意識のまま、目を見開き、何かを拒絶するように息を荒くしている。
「……マリアが……僕のせいで……僕が……!」
声が震える。
過去の記憶、フェイリャの囁き、そして自分の選択───
すべてが重なり、シャドウの心を押し潰そうとしていた。
そのとき、駆けつけたテイルスがすぐに医療装置を操作する。
「完全にショック状態に入ってる! 強いフラッシュバックだ!」
「治せるか!?」
「治すっていうか……!うーん…っ、一旦鎮静剤を使う! ソニック!できる限り、シャドウを抑えて!このままだと、注射が打てない!」
素早く注射器を準備しながら、テイルスが一瞬シャドウに視線を送る。
そのとき───
シャドウが力なく呟きながら、また身を起こそうとする。
その目にはもう、目の前の世界が映っていない。
「やめろってば! お前のせいじゃない!」
ソニックは迷いなく、シャドウを抱き締めるように押さえ込んだ。
「……お前が何を背負ってきたか、全部はわかんねぇ。でもな、"お前自身"が壊れたらだめだろ!」
その声に、シャドウの身体がぴたりと止まる。
「もう一人で戦うな。……俺たちがいる。テイルスだって、オレだって……お前を一人にしたりしねぇよ」
一瞬だけ、シャドウの目にうっすらと焦点が戻る。
荒い息の中で、その胸に、ソニックの体温が微かに伝わった。
「……ソ……ニック……」
その声がこぼれた瞬間、テイルスの手が素早く鎮静剤を投与する。
数秒後───
シャドウの身体が、ふっと力を抜いたように沈み込み、静かに呼吸を整え始めた。
「……効いた……」
テイルスが安堵の息を吐き、ソニックもまた、抱えていた力をようやく緩めた。
「……悪いな、シャドウ。勝手に一人で抱えようとするなって、ちゃんと怒ってやるからな。あとでな」
そう呟きながら、ソニックはそっとシャドウの頭を支え、ベッドに横たえる。
問題はまだ何も終わっていない。
けれど───ここだけは、今だけは。
ほんの少し、穏やかな時が流れた。
リビングのソファから飛び起きたソニックは、反射的に扉へと駆け出す。
「シャドウッ!!」
扉を乱暴に開け放ち、部屋の中に飛び込むと───
そこには、ベッドの上で頭を抱え、全身を震わせるシャドウの姿があった。
「おい……シャドウ!? どうした!?」
呼びかけにも反応しない。
目は虚ろに泳ぎ、額にはびっしりと冷たい汗。
喉から漏れるのは荒い呼吸と、かすれた呻き声だけ。
シャドウの心は、まだ夢の中───
マリアの死と、フェイリャの囁き、無力だったあの瞬間に囚われていた。
「やめろ……僕は……僕はもう過去には……!」
目を見開き、シャドウはベッドの端で身体を丸めるようにして震える。
拳を固く握り締め、爪が掌に食い込むほど。
「全部……違う……あれは……あれは……!」
ソニックは躊躇なく駆け寄り、肩を強く掴む。
「シャドウ!! しっかりしろ!!」
その声に、一瞬シャドウの目がソニックを捉える───だが、焦点は合っていない。
混濁した意識の中、敵と味方の区別すら曖昧なまま、呼吸がさらに乱れていく。
「くそっ……! テイルス! 早く!! シャドウが危ない!!」
リビングに響いたその声に、奥からテイルスが駆けてくる。
シャドウは今、悪夢と現実の境目で───壊れかけていた。
「シャドウ!! 落ち着けってば!! ここはアークじゃない、夢なんだよ!!」
ソニックの声が部屋に響き渡る。
それでも、シャドウの様子は変わらない。
混濁した意識のまま、目を見開き、何かを拒絶するように息を荒くしている。
「……マリアが……僕のせいで……僕が……!」
声が震える。
過去の記憶、フェイリャの囁き、そして自分の選択───
すべてが重なり、シャドウの心を押し潰そうとしていた。
そのとき、駆けつけたテイルスがすぐに医療装置を操作する。
「完全にショック状態に入ってる! 強いフラッシュバックだ!」
「治せるか!?」
「治すっていうか……!うーん…っ、一旦鎮静剤を使う! ソニック!できる限り、シャドウを抑えて!このままだと、注射が打てない!」
素早く注射器を準備しながら、テイルスが一瞬シャドウに視線を送る。
そのとき───
シャドウが力なく呟きながら、また身を起こそうとする。
その目にはもう、目の前の世界が映っていない。
「やめろってば! お前のせいじゃない!」
ソニックは迷いなく、シャドウを抱き締めるように押さえ込んだ。
「……お前が何を背負ってきたか、全部はわかんねぇ。でもな、"お前自身"が壊れたらだめだろ!」
その声に、シャドウの身体がぴたりと止まる。
「もう一人で戦うな。……俺たちがいる。テイルスだって、オレだって……お前を一人にしたりしねぇよ」
一瞬だけ、シャドウの目にうっすらと焦点が戻る。
荒い息の中で、その胸に、ソニックの体温が微かに伝わった。
「……ソ……ニック……」
その声がこぼれた瞬間、テイルスの手が素早く鎮静剤を投与する。
数秒後───
シャドウの身体が、ふっと力を抜いたように沈み込み、静かに呼吸を整え始めた。
「……効いた……」
テイルスが安堵の息を吐き、ソニックもまた、抱えていた力をようやく緩めた。
「……悪いな、シャドウ。勝手に一人で抱えようとするなって、ちゃんと怒ってやるからな。あとでな」
そう呟きながら、ソニックはそっとシャドウの頭を支え、ベッドに横たえる。
問題はまだ何も終わっていない。
けれど───ここだけは、今だけは。
ほんの少し、穏やかな時が流れた。
