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第二章 交差する思惑永い夜

闇の中、ほんのりとした柔らかな光が差し込んでいた。
その光の先には――マリアがいた。

白いドレスをふわりとなびかせ、陽の下で花を摘んでいる。
優しい笑顔。あの日と同じ、変わらない眼差し。

「シャドウ、見て。こんなにたくさん咲いてるのよ」

その声が、懐かしさと共に胸を締めつける。

「……マリア……」

名を呼ぶと、彼女は振り返り、微笑みながら手を伸ばしてくる。
その手を、シャドウも静かに握り返す。
温かかった。確かに、そこに彼女がいる気がした。

だが――

マリアが、ゆっくりと顔を近づけてくる。
その瞳に、かすかに赤いノイズが走る。

「……マリア?」

一瞬の違和感。
その違和感は、すぐに確信へと変わる。

彼女の髪が闇に染まり、笑顔が不気味に歪む。
赤い瞳が開き、そこに立っていたのは――フェイリャ。

「お前が壊したんだ。彼女の未来を」

囁くような声が、耳元で響く。
その声は冷たく、刺すような氷の刃だった。

「───ッ!」

シャドウの瞳が弾けるように開かれる。
荒い息。滲む汗。暗い天井が視界に飛び込む。

「はぁ……っ……!」

心臓が激しく鼓動していた。
夢だとわかっていても、あの声は確かに胸を突いていた。

彼は天井を睨みながら、しばしの間、何も言えずにいた。
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