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第二章 交差する思惑永い夜

 砕けた床の裂け目から、わずかに煙が立ち昇っていた。

 その中心で、フェイリャは静かに立ち尽くしていた。

 目の前から掻き消えたシャドウの痕跡に、未練も驚きも見せず、ただ目を細める。

「……まだ…そんな力を」

 言葉は零れるように淡々と。
そしてゆっくりと周囲を見渡した。

 赤く染まった照明、焦げついた壁、倒れた兵士たち。

 GUNの中枢は既に壊滅状態。誰も応答しない無線、起動しないセキュリティ。

 「……まぁいい。…………GUNはもう、機能すらしない」

 誰に聞かせるでもない呟きが、壊れた天井へと消えていく。

 しばらく沈黙が続いた後、フェイリャはほんの少しだけ微笑んだ。

 「……マリア。…マリアを奪った奴らは…みんな俺がやっつけるから。…そうすればきっと…マリアは俺を褒めてくれるよね」

 その笑顔は、あまりにも歪だった。
子供が褒められたくてイタズラをした後に見せるような、純粋さと狂気が混じった表情。

 だが――その表情は、すぐに凍りつくように消えた。

 無表情のまま、フェイリャは崩壊寸前の廊下を歩き出す。

 倒壊した天井の破片も、警報の残響も、血の海も、何一つ気に留める様子はなかった。

 その背に、炎の影が揺れる。

 ただ一人、崩れゆく世界の中を、静かに歩き続けていた。
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オリソニ豆知識図鑑