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第一章 壊滅する秩序

 シャドウの拳が、音もなく加速する。

 目の前に立つその姿は──微笑んだまま、まるで人形のように動かない。
 
 マリアの顔。マリアの仕草。けれど、それはマリアではない。

「……ッ!!」

 拳は、迷いなく振り抜かれた。

 肉を打つ鈍い音が、静寂を切り裂いた。フェイリャの頬が激しく揺れ、身体がわずかに傾ぐ。

 しかし。

 笑みは消えなかった。目も、瞬き1つしなかった。
 
 まるで痛みなど存在しないかのように、ただ、そこに立っている。

 シャドウの息が荒くなる。その拳に込めたのは迷いのない意志──だが今は、心は震えていた。

 マリアに似たその顔を、自分の手で殴った。殴ってしまった。

「……貴様はマリアじゃない。違う。違うんだ……!」

 言い聞かせるように、吐き捨てる。

 その一方で、微笑んだままのフェイリャは、ゆっくりと口を開いた。

 「…ほら、お前の言う“感情”なんてそんなものさ、プログラムされた、"用意されたもの"でしかないんだよ。」

 「……っ!」

 鋭く突き刺さる言葉に、シャドウの足が止まる。

 フェイリャが頬を指し示すその動作。微笑みはもうマリアのものではなかった。それは確かに、フェイリャ自身のもの──冷たく、歪んだ、勝者のような微笑みだった。


 「感情があるなら、この顔に手なんて出せないはずだ。所詮、お前も……兵器でしかない。」
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オリソニ豆知識図鑑