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第一章 壊滅する秩序

「また疑問か。」
 
 溜息混じりの怪訝な鋭い目が、貫くようにシャドウを見つめる。

「……俺は、俺だ。こんな質問には、意味が無い。」
 
『……そうでしょ?シャドウ。』
 
 その声が再び変わった瞬間、空気が凍りついた。

 マリアの声。あの、優しくて穏やかな響き。
 
 その微笑み。首を少し傾げる仕草。
 
 全てが完璧だった。かつての記憶の中の彼女そのもの。

 シャドウの瞳が揺れる。足元が崩れそうになるほどの錯覚。

「……やめろ……」

 低く、かすれた声が漏れた。鋼のような意志で押さえ込んできた感情が、今にも溢れ出しそうになる。

 拳が震える。怒りでも、悲しみでもない。
 
 それは、名前のつかない“痛み”だった。

「マリアは……そんな風に僕の言葉を軽く笑ったりしない!」

 睨み返すシャドウの眼には、血のように赤い光が宿る。感情が導く、本能のままの一撃。

 マリアを――彼女の記憶を、これ以上穢されてたまるか。

 その想いが、シャドウを突き動かしていた。
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オリソニ豆知識図鑑