世はグルメ時代。

そんな分かりきっていることを説明するな、なんて言わずにさせてほしい。

グルメ時代を生き抜く美食屋と呼ばれる者達の中に、四天王と呼ばれる4人の男達がいた。

その中の1人、ココは、占いの街グルメフォーチュンという場所で占い師をしていた。

今日もいつも通り店を開き、お客を占い、夕方を迎える。

そろそろ店仕舞いをしようと思った時、1人の女性がやって来た。

ココ「ごめんね、今日はもう店仕舞いなんだ」

女性はフードを被っていて表情が見えなかったが、少し笑った気がした。

「いえ、占ってもらいに来たんじゃないんです
少し、聞きたいことがあって」

ココ「聞きたいこと・・・？
あぁ、どうぞ」

聞きたいことがある、と言った女性の話を聞くため、向かいにある客用の椅子に座らせる。

女性は頭を軽く下げ、椅子に座った。

「ありがとうございます
貴方は美食四天王の一人、ココさんですよね
強力な毒を生産することが出来ると聞いたのですが・・・それは、本当ですか？」

ココ「・・・本当だけど、それがどうかしたのかい？」

それを聞いた途端、女性が顔を上げた。

ココは彼女の目的が読めなかった。

前にこの毒を、体質を目当てに近寄られたりしたことはあった。

だが、その人たちは好奇心と恐怖が混ざった表情をしていて、顔を上げて見えるようになった彼女の表情・・・喜びに包まれた表情は、していなかった。

緊張が解けたかのように顔を綻ばせ、嬉しそうに声を上げた。

「よかったぁ・・・！
あ、あの！ココさんに頼みがあるんです」

ココ「頼み？」

「はい！
きっとココさんにしか出来ないことです」

自分にしか出来ないこと、と聞いてココは余計に彼女の目的がわからなくなった。

毒のことを聞いてきたのだからそれが関係していることはわかるが、この毒にしか出来ないことというところがわからなかった。

ココが首を傾げていると、彼女は衝撃的な言葉を言い放った。

「私を、殺してくれませんか」