サニーと陽輝はグルメ馬車を降り、三途の道へ続く森を抜けた後、霧で覆われている険しい崖道を渡り、ついに目的地に到着した。

三途の道にいたのは”グルメ番長”の異名を持つ男、愚衛門。
ココが言っていた三途の道にいるただ一人の人間というのは愚衛門のことだった。

愚衛門は剣術にも長けていたが、”直観”という相手と対峙した際に瞬間的に最善手が頭に浮かぶ、膨大な量の訓練と経験により産み出されるものの達人でもあった。

サニーはその直観を会得するため、ここでグルメ界からやってくる猛獣達を倒しながら修行を続けている。

そんなある日の夜。

「出来ましたよお二人さーん」

一緒に来ていた陽輝はもちろん戦うことが出来ない、その分料理を作ることで二人をサポートしていた。
サニーに料理を振る舞って以来、頻繁に飯を作れと言われるようになり、作っているうちに料理の腕も上がっていた。

愚衛門「お！今日も美味そうだな！」

「いやいや、一般家庭レベルの腕前なんであまり期待しないでくださいよ」

愚衛門「そうでもないぞ
この猛獣は特殊調理食材とまではいかんが、結構扱うのが難しい猛獣だ」

「えっ、そうなんですか！？なんとなくで作ってたんでびっくりです・・・
はっ、これぞまさに直観調理！」

愚衛門「おっ！サニーより先に会得したか！はっはっは！」

サニー「何でこいつらこんなに仲良くなってんだよ・・・」

息ぴったりの会話をしている二人を横目に陽輝が作った料理を食べているサニー。

愚衛門「しっかし、嬢ちゃんはいい嫁さんになれるぞ、気が利くし飯も美味い！」

サニー「そーかぁ？急にキショい発言したりあぶねーとこに平気で行く奴だぞ？」

愚衛門「ギャップがあっていいじゃないか！貰い手がないなら俺の嫁になるか？」

サニー「はぁ！？おっさん何言ってんだ！？」

愚衛門の思わぬ発言にサニーは勢いよく立ち上がる。

「この先貰い手がなかったらそれもいいですね〜」

サニー「お前まで！？」

「私は急にキショい発言したり？危ないところに平気で行きますし？そんな女を貰ってくれるんですからそりゃ嫁ぎたくもなりますよ」

サニー「嫌味か！」

「そんなまさか〜
ま、ほんとに貰い手なんてないですからね私じゃ、あーあ寂しい寂しい」

全くそう思っていない陽輝は棒読みで答える。

愚衛門「そう言う奴ほど早く結婚するから安心しろ！
・・・っと、次の晩飯が来たようだ」

サニー「！」

サニーが振り返った先には数十匹ほどの猛獣が新たに迫ってきていた。
愚衛門は刀を持ち立ち上がると戦闘態勢に入り、サニーに声をかける。

愚衛門「サニー！ここで嬢ちゃんが傷負っちまったらちゃんと責任取れよ！」

「責任？」

サニー「まさか・・・」

愚衛門「ん？結婚に決まってるだろ？」

サニー・陽輝「「け、結婚！？」」

見事にハモった後、動揺したサニーが陽輝の方を指差し反論する。

サニー「俺がこいつと！？あ、ありえねーし！陽輝！絶対俺から離れるなよ！」

「えぇ・・・こんなに複雑な俺から離れるなよ発言ある・・・？」