これはホテルグルメが閉店し、従業員達が帰宅した後のこと。

小松と陽輝の二人は仕事関連の打ち合わせがあり居残っていた。
打ち合わせは順調に進み、ようやく話がまとまったところだった。

「・・・あの、小松くん」

小松「どうかしましたか？」

先程までの打ち合わせの時より深刻そうな表情で陽輝は小松に声をかける。

「その・・・私に、料理を教えてくれませんか！？」

前のめりで頼んでくる陽輝にたじろぎながらも答える小松。

小松「も、もちろん構いませんが・・・急にどうしたんですか？」

「今更って感じなんですけど、私サニーさんにたくさん迷惑かけてるのに何も返せていないことに気付きまして・・・
この世界といったらやっぱり料理じゃないですか！なのでサニーさんに料理を振る舞いたいんですけど・・・私全然やったことなくて」

陽輝の説明とサニーへの感謝の気持ちを受け取った小松は、笑顔で了承する。

小松「なるほど、わかりました！閉店後でよければ一緒に練習しましょう！」

「！ありがとうございます！」

ホテルグルメで小松と料理を練習すること数日。
普段の仕事の後に練習をしているせいでここ数日、帰宅する時間が遅くなっていた。

「ただいま帰りました～・・・」

フラフラ～とドアを開けてリビングに来る陽輝に気付いたサニーは、いつも通り返事をしつつもさり気なく触覚で支えていたりする。

サニー「遅かったな、つか最近遅すぎじゃねーか？」

「えっ！？そ、そうですか？最近やることが多くなったからですかね～」

一瞬ギクリとした陽輝だったが、バレないよう慌てて取り繕った。
その反応を見て、また仕事を詰め込んでいるのではないかと思ったサニーは珍しく直球で聞く。

サニー「・・・また無理してねーだろうな」

「う、大丈夫ですよ！もうサニーさんに迷惑かけませんから！」

サニー「本当かぁ？お前の大丈夫は信用ならねーからな」

サニーは半分茶化すように返すが、半分本気で心配していることに陽輝は気付かない。

「えぇ～！」

心外だと言わんばかりに目で訴えるが、とあることで引っかかっているサニーは反応しない。

サニー(迷惑、か・・・)