～陽輝side～

翌日、早朝に出勤し猛スピードで仕事を終わらせた結果、久しくまともな休憩を取ることができた。
陽輝は誰もいない古びた屋上で一人のんびり過ごしていた。
が、屋上の入り口から三、四人はいるであろう声が聞こえてきた。

女社員1「ほんっとしんどいよねここ！私もう辞めようかなぁ」

女社員2「えぇ～、あんただけずるい！でもあのハゲに辞表渡しにくくない？」

女社員1「そうなのよねぇ・・・」

女社員3「何も出来ないくせに上司ってだけで威張ってくるし仕事だけは一丁前に寄越してくるのよねあのハゲ」

女社員4「わかる～！マジでうざいよね！・・・ん？」

グループの一人が柵にもたれかかっている陽輝に気づく。
リーダー各の女がニヤリと笑う。

女社員3「實景さんじゃない、今日は珍しく仕事サボってるのかしら？」

陽輝に近付きながら嫌味ったらしく聞いてくる。

「もう午前中の仕事は終わらせたので」

女社員3「あらそう
あぁごめんなさい！手が滑った！」

「っ！」

近付いてきたと思いきや、陽輝を柵に向かって突き飛ばした。
古い屋上の柵は当然劣化しており、人一人分の体重に加えて突き飛ばされた勢いを支えることはできなかった。
柵はバキっと折れ、そのまま空へ投げ出される陽輝。

「え・・・！？」

無意識に伸ばした手を取ってくれる者はおらず、陽輝が最後に見たのは驚きで目を見開いている女社員達の顔だった。