夢主の名前
番外
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「姜維が死ぬだなんて、考えたことないな」
私の問いかけに対して彼女はそう言った。私の問いかけも酷く惨いことであろう、それでもそう言ってくれたことが何より嬉しかった。彼女の困惑した顔も、とても綺麗で、あぁ私は夢主という人に心底惚れてしまっているではないか。
「私が死んだら夢主は泣いてくれるか」
「縁起でもないこと言うなよ…」
彼女の目には何にも毒されていないであろう私が映っている。こんな美しい人に死ぬなと言われれば、私は是が非でも生きようと思うだろう。地に這い蹲り人の骨を貪ってでも、彼女の傍にいたいと思える。不思議なほど彼女に心は犯されている。けどとてつもなく悦ばしいことだ。愛する人のことだけが私を生かしているなんて、奇妙だがまるで彼女の一部になったようではないか。
「姜維は死なせんさ、蜀の皆は私が守るからな」
「皆、か」
対象が自分だけでないことが唯一残念な点だが、彼女の優しい言葉で私は満ち満ちた気分になった。
守られるということが嫌ではないのだ、むしろそうして欲しい。窮地に陥ればいつだって助けてくれる。私だけに手を差し伸べて、血だらけの腕で抱きしめてくれる。私にとってそれが最高の幸せだ。
「(私が欲張りなだけなのだろうか…)」
その眼が見据える人は私だけであればいいのに。何度思っても叶えられない、焦がれるほど愛が膨れ自分の心が軋んでいく。でもその綺麗な瞳と交われば蔓延る嫉妬も憎悪を息を殺してしまう。こんな愛が受け入れられるはずもないだろう、それでも貴方を想わずにはいられない。
「夢主に殺される人は、さぞ喜ばしく思うだろう」
「喜ばしい…?どうしてそう思うんだ」
「世で一番美しい人に斬られるなんて、きっと死も悦楽になるだろうと思ったのだ」
いつか貴方が私を殺す日が来ても、私は貴方を想い続ける。私という存在が消えぬよう、その心を結びつけるまで。
「貴方を奪う者全てを殺してでも」
私は貴方の輝きを消させない。それを邪魔するものは全て屠るまで。私の愛が歪んでいるなんて、思わせない。
「死んでくれ、陸伯言」
貴方の穢れた手で、夢主を汚させない。