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浦富

「お前さぁ、わざとやってない?」
 作兵衛を見る。怒ってる。
 「やだなぁ…そんなこと」
 作兵衛は溜め息をついて作業に戻った。それを横目でチラッと見て、俺も作業に取り掛かる。一時間ほど前…また予習で壁を壊した。案の定作兵衛にはこっぴどく叱られ、片付け作業を手伝ってる最中だ。
 「予習するのはいいけどよぉ、…もっと手加減してくんねえかなぁ…」
 予習に手加減なんてあるのか。こちらを見ないで作兵衛はぼそぼそ言ってるけど普通に聞こえるし多分聞かせてる。壊しておいて難だけど予習の何が悪いのか、事前にしておけば本番で失敗しないじゃないか。作兵衛は今、イライラしてる
 「予習の何が駄目なの?」
 作兵衛がこちらを見る。あ、やべ、声に出ちゃったか…?なんて言われるんだろうと覚悟してると
 「お前なぁ…!予習とか何とかいって学園のもの壊されて付き合わされるこっちの身にもなれよ!失敗で終わるならそんなもの意味無いだろ!」
 「………!」
 予習に、意味が無い?
 予習が…?
 「そっか…」
 なら…
 「な、なんだよ」
 じり、と作兵衛に近寄ると自然と作兵衛も後ずさりする。とん、と立ち止まると後ろは壁だった
 「予習してないこと、してもいい?」
 すっと顔を近づける
 「は?おまえ…」
 作兵衛が言い終わる前に口を塞いだ。触れるだけのキス。短いその一瞬なのにとても長く、長く感じられて。そっと離れると相手は唖然とした表情で。
 なんだか嬉しくなってクスッと笑うと
 「予習がダメなら、復習…してもいい?」
 「〜〜〜!!!!!……バカ野郎!!!」
 
 いくらでも君で予習してあげるよ
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