結局、相性100% 裏
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「…ねぇ、由香」
「何?はんべ」
ある日の昼下がりのことだった。
ベッドの上で、半兵衛は私に一つお願いごとがあると言ったのだ。
…今日は、私と彼、二人とも、奇跡的に何も予定がない日だった。
私の部活も、彼の生徒会の仕事もなく、一日の時間を完全に自分の好きなように使える、本当に珍しい日。
記念日以外で二人で一日デートができる日なんてなかなか無かったから嬉しくて、今日は二人でランチをして、たくさん話をして、買い物なんかもした、とても充実した日だった。
…そして今。
私は、半兵衛の家にいる。そして、いつも忙しい半兵衛のご両親は今日も仕事に行っていて、家には私達しかいない。
ここまで揃えばわかるだろう、私達はこれから、身体を重なるのである。
…だけど。
「お願いごとって何?半兵衛」
…いつも、物語の中の王子様みたいに、私の願いを叶えてくれる半兵衛。その彼が、私にお願いごとなんて、一体なんだろう。
私は半兵衛に比べればできることは遥かに少ないけど、彼に対する想いだけは誰にも負けない自信がある。
たまのお願いくらい、叶えてあげたい。
…そう思って聞き返した私は、答え…彼の『お願いごと』に硬直した。
「少し、僕の趣味に付き合ってくれないかい?」
そう言って半兵衛は、笑顔のまま縄と首輪を持ち出してきたのである。
縄は、映画なんかで見るちゃんとした麻縄で、実用性のあるものだということが一目でわか……って、
「……え、えっ!?」
…まさか、半兵衛の趣味って。
「まさか半兵衛、そういう…?」
「そういう…とは、どういうことかな?ただ、僕は…、そうだね、愛しい存在が、羞恥や恥辱に顔を歪めながらも僕の中を呼ぶのが好きなだけなんだよ」
「ひいぃぃ!無理無理無理!このドSっ!
確かにたまに半兵衛って女王様っぽいなって思うことはあったけど、私Mじゃないからっ!は、離してぇぇぇ!」
半兵衛の腕の中から逃れようと、必死に手足をジタバタさせる。
いつもはほっとする彼の腕の中だけど、あんな素敵な王子様スマイルでとんでもないこと言われたら、流石に身の危険しか感じない。
「…駄目、かな?」
「っ、だから半兵衛、私はノーマルだって…」
弱った子犬みたいな顔をする半兵衛。
彼は、素でこんな顔、絶対しない。ほぼ100%、演技だ。…それでも絆されそうになってしまうのは、完全に惚れた弱みというやつだ。
「…僕は、君以外では満たされないんだ。君以外を抱きたいとも思わない。…由香、君は、僕を満たそうとしてはくれないのかい?」
「う……」
そう言って、私の頬に彼は手を添えた。
「〜〜〜っ、わかった!一回だけ、一回だけね!」
…結局押し負けた私に、半兵衛は嬉しそうに微笑む。
あんな言われ方したら、私が勝てるわけないじゃないか。
…やはり、私は彼には弱いみたいだ。
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