「ん、……ふ…っ」
「ククク…、耐えられていますね、偉い偉い」
「………っ、く…」

私を見下ろす光秀の眼は、愉悦のような嘲りのような、とにかくひどく気に食わない種類の感情を浮かべている。
いやに優しげな声で落ちてきた言葉は、その耳あたりの良さに反して完全に私を嘗めてかかってきているのがすぐにわかって、イラッとした気持ちを原動力になんとか唇を引き結んだ。

「ん、……く…ッ！」
「次は少し強くいきますよ」
「ぁあッ！……っく…ぅ」

陰核を、少し毛羽立った縄二本が挟み込み、私の意思は関係なく勃ってしまった突起を雑に刺激する。光秀の指はその上からぎゅうっと容赦なく私のそれを摘まみあげ、快感以上に痛みと屈辱で歯を食いしばった。
片手で私の陰核をそうして責め立てながら、もう片手は優しく私の中を掻き回している。

「……ぅ、ッう、っ、」
「ちゃんと濡れてきましたね。身体の方は従順で良い子ですよ」
「ふっ、ふざけ、んな…！っぁ、馬鹿ぁ…ッ！」

確かに少しずつ指の動きが滑らかになってきてはいるけれど、これは防衛本能みたいなものであって、けして快感故の反応ではない。こんなので感じるような変態は、目の前の男で間に合っている。

…こんな行為で良くなって堪るか、いつもは私の下であんあん言ってるこいつになんて、何重もの意味でプライドが許さない。別に私は特にプライドが高い方というわけではないけど、性的なことについて光秀と同じ土俵に立ったら終わりだ。


「………ッ、くぅ、ん…っ」
「おやおや、どんどん溢れてきますね。わかっていますよ、ここでしょう？」
「っ、んん…ッ、ふ…ッ」

彼の細い指が、少し曲がって私のお腹側を刺激する。びくっと腰が跳ね上がったのをなんとか制して睨んだ光秀は、なんと言おうか、妙にサドっぽいムカつく顔をしていた。
…完全に、下だと思われている。私は何も了承していないのに。

「やめ……っ、やめろ！離れろ変態ぃ！」
「おやおや、素直じゃないですねぇ」
「ッぅ…〜〜〜〜〜っ！」

中の弱点をグリグリと刺激され、縛られて動かせない手を思い切り握る。仕方ないなという風に溜め息をつく光秀に何か一矢報いてやりたかったが、気を抜くと声が出てしまいそうで不発に終わった。
痛いのには感じないけれど、中を弄る彼の指のほうは…屈辱だけど、いつも通り的確なんだ。

「はぁ…ッ、やめ、ろ、馬、鹿ぁ…っ！こんな、こと……っ！」
「嫌がられるのも中々そそりますね。もっと無駄な抵抗をしてみせてください」

確実にこちらを嘲っている台詞と共に、光秀はベッド横の引き出しに手を突っ込んでガサガサと探る。
そこから抜け出した彼の指の隙間から見覚えのあるピンク色のコードがはみ出していて、多分あれはローターか何かだろうと目星がついた。
確かに痛いことをされるよりは遥かにマシにも思えるけれど、それはそれとして縛られたこの状況でいきなり使われたいものではない。

当然身体が動かせない分口で思い切り抵抗したが、そんなもの光秀はどこ吹く風で、私の開いた脚の間に、すんなりとそれは呑み込まれてしまった。
ローターが二つ私の中に収まり、小さいが無視できない振動を始める。

「……っ、うぅ…っ」
「まだ余裕がありますね。こちらで蓋をしましょうか」
「っやだ…！無理だって、入んないから…！」

私の目の前に彼がちらつかせたのは、うちにあるものの中で一番特大サイズのバイブだった。突きつけられた通常サイズと比べて二回り以上大きいそれが、ヴヴヴ、と低い音をたてて振動を始める。
…それ、本気で私の中に入れるつもり？

「怖いですか？そそられる顔をしていますね」
「や、っ……やめろ、馬鹿…っ、変態、やめろ、やめてってば、入るわけ…っ」
「そんなに可愛く怖がられて、やめるとお思いですか？さあ、拡張してしまいましょうね」


バイブの先端が、少しずつ私のそこに向かっていく。
言葉なんて全くの無意味で、どうもならない状況に滲みかけた涙を飲み込むくらいが、私にできる強がりの限界だった。