変態彼氏! 裏
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「、ん……?」
「おはようございます」
目が覚めて一番最初に見えたのは、光秀の顔のドアップだった。
…あんたの毎度の不気味な登場の仕方には慣れてきたとはいえ、寝起きにいきなり血色の悪いにやけ顔を間近で見せられる私の気持ちになってみてほしい。心臓に悪い。
正直記憶が定かじゃないので曖昧だけど、どうして私は眠っていたんだろうか。
昨日夜更かしした記憶もないし、久々だったから疲れたのかな。そう思って身体を起こそうとして、私はようやく違和感に気付いた。
「な、な、な……光秀、何してくれてんの……!?」
「緊縛です」
「そういう話じゃなくて!いやちょっとホントになんで!?理解できないんだけど!?」
起きられないどころか、まず普通に動けない。ついでに言えば、意識が覚醒してくると気付く、地味に痛い。
…そりゃあ当たり前だ、だって私の身体は、よくSM系の漫画雑誌やAVで見るような複雑な形に縛り上げられていたのだから。
えっ待ってもう何から文句言えばいいのかわからない!取り敢えず服まで脱がせてあるのは許しがたいことはわかるけど!
というか普通に恥ずかしい!脚が閉じられないし腕も動かせないから何がとは言わないけど色々丸見えなんだけど光秀!?
大混乱で見上げた先の光秀は白々しく微笑んでいて、ああやっぱりこいつの仕業かと、久方ぶりに胸の奥から殺意が湧いた。段々あんたの奇行にも慣れてきたと思ってたけど、まだまだだったってことだね。思い知ったわ。
「何のつもりだ光秀っ!さっさと外せ馬鹿!恥ずかしいわ!!」
「おやおや、お怒りですか?とてもお似合いですよ」
「そういう話じゃないしなんで私縛られてんのさ……!?」
のらりくらりと話の論点をかわされて、今のところ全く知りたいことが聞き出せていない。縄が似合ってるとか言われて喜ぶのなんて一部の特異な方々だけでしょ。
もういい加減にしろと思い切り光秀を睨みあげると、奴は口元を押さえてククク、といつも通りの薄気味悪い笑い声を上げた。
片方しか見えない瞳が、ひどく愉しそうに歪んでいる。その目つきはまるで獲物を前にした毒蛇か何かのようで、不覚にも背筋にひやりとするものが走った。
「…そうですね。何故かと言われれば…、私の為でもあり、貴女の為でもあります」
「…は?」
「実は私、こちら側をするのも好きなんですよ」
「はぁ!?」
光秀の長細い指が、私の首元にかかった縄を少し持ち上げる。随分的確に縛ってあるようで、その小さな動きだけできゅっと身体全体が締め付けられた。
…え、何、どういうこと?つまり、光秀はMだけれどSでもある、と、そういうこと?
「ええ……?うわ、どんだけ変態なの……」
「お褒めに預かり光栄です。万能でしょう?」
「いやでもそれでなんで私がMをやらなきゃいけないのさ」
いつも光秀のMの方に付き合ってるし、それでいいじゃない、わざわざ逆転してみなくたって。満足してないなら口で言ってくれれば改善するし。とにかくこっちはリスクが高すぎるからやりたくないの!
「いえいえ、毎回満足させていただいていますよ。…けれど、貴女、いつも満足していないでしょう?」
「今更じゃん、こういうのに妥協は付き物でしょ」
「…私が、貴女を快くして差し上げたいのです。私が思うに、貴女はそちらの方が合っていると思うんですよねぇ…」
ふてぶてしく、こうしているのはまるで自分の純粋な善意からであるとでも言いそうな光秀の様子に、ふつふつとまた怒りが沸き起こる。
…合ってる、って。まさか、私にMの素質があるとでも?光秀のことは好きだし満足させてあげたいとも思うけど、こういう行為を根っからSとMで考えるのはやめてほしい。世の中にはノーマルな人もごまんといるというか、そっちの方が圧倒的に多いんだから。
だって、Mってことは、いつものあの行為の受け手が私になるということで…、考えるだけでゾッとする。痛いのも苦しいのも恥ずかしいのも全部お断りだ。
「絶対嫌!あんなことされて喜べるような変態じゃないっての!」
「クク、何もしない内からそのようなことを言ってはいけませんよ。何事も、やってみなければわからぬものです。…思いの外、病みつきになってしまうかもしれませんよ?」
「ない!ないから!」
さっさとこの状況から逃げ出したくて身を捩るが、光秀に私を解放しようという兆しは見えない。
なす術もなく、しかしこの変態にしおらしくお願いするというのもプライドが邪魔をして、ただじとっと自分を睨み付ける私に対し、彼は上っ面だけなら極上の笑みを浮かべた。
「…ならば、根比べといきましょうか。貴女の自尊心をへし折って、自分から辱めてくださいと言わせてみせますよ」
「…っんな訳、ないでしょ…!」
正直怖くて仕方ないけれど、どうやら私が抵抗すればする程燃えるタイプならしい、彼は。完全にスイッチが入ったらしい光秀はもう私の言葉に耳を貸すことなく、縄をうたれた無防備な身体に手を伸ばした。