元就、私の御主人様になってください! 裏
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…いつもより長く感じる午後を過ごし、放課後。
私は、自分の家からそう遠くないところにある元就の家にやってきていた。
もう制服から私服に着替えたらしい元就が、全くの無表情で出迎えてくれる。
「…来たか。入れ」
「う、うん…っ、は、」
宅配便やらの時以外、自分で出迎えることなんてない元就が出てきたことからわかるように、どうやら今日はおばさんもおじさんもいないらしい。彼には兄弟姉妹はいないから、今家の中にいるのは私と元就の二人だけだ。
…これからそういうことをするのにうってつけじゃないか。
少し緊張しながらも靴をおいて玄関に上がると、元就の家の匂いがふわりと香る。
元就の冷徹を絵に書いたような性格とは裏腹に、ここはいつも落ち着く匂いがする。リラックス度合いで言うと、第二の実家くらいの心持ちである。…いつもならば。
「我の部屋で良いな?」
「い、いいよ…」
…どうやったら、元就ほど表情が変わらないように生活できるんだろう。
階段を登っていく彼には、動揺、緊張といった類のものが片鱗すら見受けられない。
幼馴染みで、今まで恋愛対称として見たことがないだろう私とSMなんてしちゃうというのに、いっそ私より元就のほうが落ち着いているくらいだ。
…元就って、性格こそ鬼畜だけど、たしか性癖的にはノーマルだったはずだよね。何あの鉄面皮。
初めてのSMなら、もうちょっと戸惑ったりしたっていいと思うんだけど。いやでも、私に酷いこと言ったりするのは日常茶飯事だから今更気にならないのか…?
…元就の部屋に通され、上着を脱いでラックに掛ける。
私が、今すぐにでも組み敷かれたいほど焦れているのは見通されているだろうが、どうやら元就はまだ始める気がないようだ。…こんなに興奮させておいて放置なんて、初っ端から中々のドS具合である。
さっきあんなことまで私に言ったんだ、流石にやめる気はないだろう。彼は、気が乗らないことでも、始めたら完遂する男だ。
「何か持ってくる。茶で良いな?」
「あ、うん…あ、ありがとう…?」
元就が台所に行くために、一度部屋を出ていった。木の階段を降りていく音が聞こえる。
…彼は、普段なら絶対に自分でお茶なんか淹れない。いっそ、その時の元就の気分次第ではこちらが淹れることになるくらいである。
そこから考えて、彼の意図は読み解けた。今彼は、故意的に私を焦らしているのだ。
…一人になると薄らと聞こえる、低い振動音。
元就はSM初心者なはずだけど、今まで散々色々言ってきたせいだろうか、随分私のツボを心得ている。
「…ーーっん…」
ヴヴ、と、密かに、だけど確かに私の中で震えているそれは、私の夜とプレイのお供の一つ、ピンクローターだった。勿論これは私が独断で入れてきたわけではなく、彼からの『何か玩具でも入れてこい。まさかできぬとは言うまいな?』という、脅しも含んだ命令によってのことだ。
逆らえるわけもなく従った私だが、彼の掌で転がされているような気分である。もう余裕なんて無いようなものと言っていい。
…しばらくして戻ってきた元就が、お茶とお菓子を机に置いてベッドに腰を下ろした。これは、長期戦の覚悟を決めなければならないようだ。