半兵衛さん、私の御主人様になってください! 裏
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「…そもそも君は、人の足元にいきなり滑り込んで行くのは迷惑だと思わないのかい?自分の欲求に従って行動するのは結構だけど、人間としての常識の範疇で考えなければいけないのは当たり前だろう?」
「お、おっしゃる通りです……」
ふるふると、正座で痺れた足が震えて限界を訴えてくる。…お説教をされて、かれこれ二十分ほどだろうか。
半兵衛さんは理想の主人だ。しかし、このように説教が長いのは頂けない。
だが、今回のことについては完全に私が悪いので、お説教も甘んじて受けるしかないだろう。…それに、今回に限っては逃走できるほどの余裕もないのである。
「本当にごめんなさい、ただ…!どうしても、どうしても欲求が抑えられなくて……!お願いします半兵衛様、一回だけでいいんです!助けてください死活問題なんですぅぅぅ!!」
「君は周りの目が気にならないのかい…」
額を、ガツッと音が鳴るくらいの勢いで床に叩きつけた。
色々な場面で鍛えられた、完璧な土下座である。土下座の綺麗さだけなら、現役武士にも負けないんじゃないかと自負しているくらいだ。
しばらく半兵衛さんは無言のままその姿勢の私を見下ろしていたが、そのうち諦めたようにふぅ、とため息をついた。
「…はぁ、仕方ないね。付き合ってあげるよ」
「ほっ本当ですか!?ありがとうございます!ありがとうございます!!」
今まで何回かアタックしてきたが、それが報われたのは初めてのことだ。折れてくれた半兵衛さんを拝むように両手を合わせる。
人目が気になってなのか、私を哀れに思ってのことなのかわからないけど、とにかく無理やり気味でも欲求不満を解消する手立てができた。
「それで、いつ頃がいいんだい?」
「はい!半兵衛さんの都合が良くて、近い日で!近ければ近いほどいいです!」
「…なら丁度いいし、今日済ませてしまおうか」
「マジですか半兵衛さん!神様ですか!?いや女王様だった!」
テンションがいつより上がっている私を、半兵衛さんは塵を見るような目で見下ろした。…うん、本当申し訳ないけど、更に興奮する。
よく『これさえ無ければなぁ…』と言われる私だけど、今となってはドMじゃない私とか自分でも気味が悪いから仕方ないのだ。
いつもフラれる時の原因はこれだけど、それでも仕方ないのだ!
「はぁ…、じゃあ、今日の放課後、校門で待っていたまえ。…くれぐれも、僕の立場が悪くなるような言動は慎むことだ。わかったね?」
「はい!半兵衛さん!」
呆れと諦めのようなものを滲ませて、半兵衛さんはそうやって私に約束を取り付けてくれた。
ここ数日、ずっと欲求不満を持て余していたのだ。今日の私は、先生からお呼びがかかっても、友人から誘いがあっても、何があっても校門を離れないぞ!