元就さんと私の秘密 裏
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…「元就せんぱーい!」
「…由香か。どうした」
「「「「「!?」」」」」
…ある日のことだった。
いつも、有名大学レベルの本を傍らに積み上げて、黙々と読み進める元就の姿しか見たことのない第二図書室の常連の面々は、騒然としていた。
何故って、女子生徒どころか、ほぼ全ての人間に興味がないというような冷たい態度を取る元就が、嫌がる素振りなく女子を親しげに迎え入れ、話しているのだ。
本を読んでいるのを邪魔された毛利元就なんて、いつもであれば焼け焦されても文句は言えないというのに。
「元就さん、今日一緒に帰りませんか?」
「ふむ、良かろう」
「やった!ありがとうございます!」
楽しげな本人達に対して、図書室の体感温度はどんどん下がっていく。
…誰が、女子と並んで帰る毛利元就を想像しただろうか。
…その上、あの毛利が女子の袖を掴み、手を持ち上げて、顔を赤くした女子に、満足げに笑った時、図書室は今度こそ凍りついた。
「…由香、今日は我の家よ」
「はい…!デ、デートですね、なんて…」
「ふん、好きに考えるがいい。やることは変わらぬわ」
「は、はい…じゃあ、好きに考えておきますっ」
…イチャイチャ、イチャイチャ、と、背景に、幻覚か、ピンク色のハートとそんな擬音が浮かんで見える。
そのやりとりからして、あの二人が友人なんかではないことは確実だろう。
図書室にいた誰かは手で顔を覆い、誰かは顔を赤くし、誰かは無言で立ち去った。
…にしても、毛利元就は、かなり長く一緒にいた相手にも心を開かないことが多いというのに、あの女子と毛利が一緒にいるところなんて、校内で一度も見たことがない。
それなのに、いつの間にあの二人は男女の仲になったのだろう?
誰かは、頬を染めながらそう思ったが、結局は予想することしかできない。
…何が起こったかは、本人達のみぞ知る、だ。