続・竹取物語
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「慈郎の飲んでるのってコーラだよな?ちょっと一口くれよ」
「んじゃガックンのチキンナゲット1個ちょーだい」
とあるファーストフード店にて俺、岳人、慈郎の3人は雨宿り中。
雨の中ふらふらしていたところ、学校帰りの二人と遭遇した。
二人共傘をさしていて、傘を持っていなかった俺に半分スペースを与えてくれた。
けれど帰宅中、雷が鳴ったことによって俺達は急遽ファーストフードで時間を潰そうと駆け込んだ。
っていうか、この時季に雷って…。
どんだけ異常気象やねん。
時刻は6時。
雨宿りを始めて1時間がたとうとしていた。
「それにしても止みそうにねぇな…」
「雷もゴロゴロいってるC~」
窓の外は土砂降りで、灰色の空は光っては大きな音をたてている。
まったく…天気も俺の心も荒れ模様やわ…。
この季節に大雪ならともかく雷やで?
なんやもう、今日は最悪や。
「あ、そうだ侑士!!」
「ん?なんや岳人」
「あれ、あの話なんかデマっぽいぜ」
あの話?
「妹と跡部がヨリ戻したってヤツ」
……あぁ…その話か…
まぁ、ほんまにデマやしな…。
「Aー!!何それ!!そんな噂流れてたの!!?俺知らなかったCー!!」
「俺のクラスのヤツが今日妹に告った時に跡部が現れたから勝手に勘違いしたんだよ」
「それ本当に勘違いだったの?」
「跡部親衛隊が調べた結果デマだってことが判明したらしい」
跡部親衛隊って…
いったいどんな調査したんやろ…。
「それにしてもさ、なんか跡部の方がまだ妹に未練あるような気がしねぇ?」
「A~、でも妹は跡部に“振られちゃった”って言ってたよ。未練がある方が振るわけないC~」
「でもよー、なんか跡部はまだ妹のこと好きな気がすんだよなー」
岳人と慈郎の会話を俺は黙って聞いていた。
やっぱ誰が見ても跡部はまだ妹のことが好きやと分かるんやな。
妹…
家で独り、俺の帰りを待ってるんやろうか
母さんはもう帰って来たんやろうか
雷が怖くて震えてへんやろうか……
「なぁ、侑士はどう思う?」
突然岳人に尋ねられて「は?」なんて声が漏れた。
「だからさ、妹ってもう既に好きなヤツがいるんじゃねぇの?って聞いてんの!!」
「……何でそう思うん?」
「跡部と別れたばっかのくせに毎日楽しそうだから」
その岳人の言葉を聞いて、ふいに口元が緩みそうになった。
「俺もそう思う~、だって最近の妹なんだかすげぇ可愛いC~」
「…そう見えるん…?」
「うん。忍足は一番身近にいるくせに気付かないんだね。もっと意識して妹のこと見た方がいいよ」
「そうだそうだ!!お前一応兄貴なんだから、妹のこともっと見ろよ!!」
意外と目ざとい二人に溢れる笑みを堪えた。
俺が気付いてへんかっただけで妹は今の生活、これでええと思っとるんかな
俺が思っとるよりも
妹は俺のことが好きやったらいいな
俺の“好き”には敵わんくても
俺と同じくらい好きやったら
それだけで俺は幸せなんやけど―――‥
「おい、どうしたんだよ侑士」
「………ん?」
「顔がニヤけててキモチわりぃ」
眉間にシワを寄せて引き気味な岳人に
「キモチわるい言うな」
と、頭をド突き
「俺、帰るわ。色々とおおきに」
そう告げて店を出た。
岳人と慈郎の「おい!!」と呼び止める声にも振り向かず
ひたすら走った
傘も差さずに、ただ早く
妹に会いたかった。
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