続・竹取物語
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雨の音が響き渡る室内
誰も居ない家に独りきり
まだ帰って来ない侑士を待っている
『続・竹取物語』
――後編――
「凄い雨…」
リビングの窓から土砂降りの景色を呆然と眺める。
侑士が「頭冷やして来る」と言って何処かへ行ってしまってからすぐに降ってきた。
私は鞄の中に折りたたみ傘があったから助かったけど侑士が持っていたとは思えない。
きっとびしょ濡れになって帰って来るんだろうな…と、タオルを用意してるのにまだ帰って来ない。
「何してんのよ…バカ…」
思わず漏れる独り言。
バカ侑士
私だって人目なんか気にせずに手、繋いで歩きたいと思ってるのに
でも、それが出来ないのが私達じゃない。
私だって我慢してるのに
自分だけが我慢してるとか思わないでほしい
ヤキモチだって…
侑士だけが妬いてるなんて思わないでほしい。
私だって嫉妬してる。
侑士のことカッコイイって騒ぐ子達、
侑士に告白してくる子、
侑士のこと好きだって堂々と言えちゃう子、
どんなに羨ましいか。
侑士はあたしの彼氏だから好きにならないでって、
そう言いたい
それほど好きなのに…
侑士のこと大好きなのに…
「伝わってないのかなぁ…」
ザーと、響く雨音にかき消されるほど小さな声で呟いた
その直後、
トゥルルルル――‥
電話が鳴った。
侑士なら携帯にかけるはずだし、誰からだろうと思いながら受話器を手にした。
「はい、忍足です」
『あ、妹?』
電話の主はお母さんだった。
「どうしたの?まだ仕事中だよね?」
『そうなんだけど今雨凄いでしょ?さすがに一人で帰るのは厳しい感じだから今日はお父さんと帰るわね』
「そっか…ってことは今日は遅くなるんだね」
『えぇ、ご飯は家にあるもので何か食べてね』
通話を終えて受話器を置くと窓の外に目をやった。
相変わらずな土砂降り。
侑士…
早く帰って来てよ…
お母さんも遅いのに一人でご飯なんて嫌だよ…
「バカ…」
時刻は6時を過ぎた。
侑士はまだ帰って来ない。
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