続・竹取物語
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
放課後、突然私のクラスへやって来た侑士
理由も分からないまま腕を引っ張られて
いつも帰り道に通る土手
そこでいきなり抱き締められた。
「ちょ、ちょっと!!こんなところで…っ!!!」
力強い侑士の腕を振り払おうと必死にもがく。
どうしよう…
誰かに見られたら……っ!!!
「放して――っ!!!!」
思い切り両手を侑士の胸に押し当てて突っぱねた。
少しバランスを崩した侑士から視線を逸らして私は辺りを見渡す。
今の…氷帝の生徒に見られてない…よね!!?
今にでも雨が降り出しそうな天気のせいか辺りに人影はなかった。
良かった…
誰もいなくて…
こんなところ誰かに見られたら大変だもん。
「あー、焦った…。もう!!侑士ってばどうしちゃったの!!?」
ホッと一息ついて侑士を見上げると不機嫌そうにそっぽを向いている。
「ちょっと!!何その態度!!黙ってないでなんとか言いなさいよ!!!」
「………“なんとか”」
「はぁ!!?」
何この拗ねた子供みたいな態度!!!
今朝の「俺、ちゃんと待てる男になるわ」そう言ったあの大人っぽい侑士はどこへいったの!!?
「あのねぇ、ちゃんと言ってくれないと分からないんですけど」
「跡部とヨリ戻すって噂されてんで」
「………え…」
景吾とヨリ戻すって…
「あぁ…あの時の…まさかもう噂になるなんて…」
「“あの時の”?」
「あ、うん。昼休み知らない男子に呼び出されて告白されて…しつこくて困ってたら景吾が助けてくれたの」
これでようやく侑士が不機嫌な理由が理解できた。
景吾とヨリなんか戻すはずないのに。
本当、嫉妬深いんだから。
「景吾に助けてもらったら相手が勝手に誤解しちゃっただけ。分かった?」
そう言いながら黙り込んでいる侑士を覗きこんだ。
「…跡部に助けてもらわんほどしつこいヤツやったんか…?」
「まぁ…昨日並みに…」
「だから言うたやろ。断り方が弱いって」
「そうなのかなぁ…そんなつもりはないんだけど…同じこと景吾にも言われたんだよね…」
「跡部にも…」
自分では強く言ってるつもりだし、どうしたら皆納得してくれるんだろう。
「そんで?ヨリが戻ったと勘違いされるほどカッコイイ登場の仕方をした跡部王子は素敵やった?」
「え?」
「跡部やったら義理の兄貴と違うて堂々と妹のことさらっていけるやろ」
景吾に嫉妬して不機嫌な侑士に呆れてしまう。
そりゃ嫉妬されて嬉しいけど、
景吾のことは過去のことだとキッパリしてるのに
どうしてこんなに気にするの?
「侑士さ…そのヨリ戻すって噂、真に受けたわけじゃないよね?」
「当たり前やろ。俺はな、ヨリが戻ったと誤解されるほど跡部と仲良くしとった妹に腹が立ってんねん」
仲良くって…
私、景吾と話すのもダメなの…?
「侑士、嫉妬深すぎ!!!」
「嫉妬深くて何が悪いねん!!!」
開き直ったし!!!
「適度のヤキモチは嬉しいよ!?でも今の侑士はイキすぎる!!」
「俺かてこんなんなりたないわ!!!せやけど自分にはできへんこと他の男はフツーにするんやで!!?」
「え?」
「最近…手ぇ繋いでへんって知っとった?」
「………」
侑士と両想いになってから手を繋ぐのも触れたりするのも怖くなった。
気を抜いたら周りにばれてしまうかもしれないと思って
それが怖くて怖くてたまらない。
.