「忍足。お前今日、朝練サボりやがったな？」


「あ、おはよう跡部!」

「…おはよーさん」






学校に着くなり運悪く朝練から戻る跡部と遭遇してしまった。


そんな俺の心情とは全く反対であろう妹。



メチャメチャ笑顔やで。





「大会前に随分余裕じゃねーか」

「あぁ。俺天才やし」

「アーン？」

「や。冗談やし真に受けんといて」





舌打ちをする跡部。

その横には上機嫌の妹。

ほんま、よりによって跡部に惚れるなんてな。




我が妹ながら趣味を疑うわ。



…血は繋がってへんけど。






なんで跡部なんやろ。






「今朝うちの両親が旅行に行ったの。侑士と２人揃って見送りたくって朝練休ませちゃった。ごめんね」





そう謝る妹。

別にお前が謝ることちゃうやろ。
俺が勝手に休んだんやし。





「何？お前んち今日、親いねぇのか？」



そういや跡部には言うてへんかったな。





「そうなの。今日から２泊３日で九州の方に行ってるんだ」

「ほぉ…」





そう呟いて俺を見る跡部。




なんやねんその目は。




まるで敵を見るような。




そんなふうに俺を見るってことは跡部…



お前は俺を意識しとるんか？





俺を妹の兄としてでなく男として。




もしそうなら

そんな見方をするヤツはお前くらいやで。




岳人も両親も、妹さえも気付いてへんのに。





厄介な男やでホンマ。





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