ボーダーライン
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「はぁー、何かあたしにとっては一大イベントだったのに周りの反応が淡白すぎて悲しいんですけどー‥」
練習中、ボールを拾いながら溜息をつく私。
そのすぐ隣でボレーの練習に並んでいた赤也が話しかけてきた。
「仕方ないッスよ。分かりきってたことですから」
「うぅっ!!!その周りが分かりきっていて当人同士が分かってないことってどうなの!!?」
「バカですよね」
「赤也に言われたくないぃぃっ!!!!」
私は手に持っていたボールを赤也に向かって投げつけた。
「って、先輩、痛いッスよ!!」
「だいたい何で皆あたし達が昨日から付き合いだすって分かってたの!!?あたし一緒に帰ろうって言っただけだったのに!!!」
「あぁ、それは昨日マネ先輩が更衣室で着替えてる間に丸井先輩が言ってたんですよ」
「え!!?何を…?」
「えっと…俺が“マネ先輩のことどう思ってんの?”って聞いたら…」
********
『好きに決まってるだろ。アイツに言われる前に俺から言う。好きだってな』
********
「って、言ってましたからね」
「あー‥」
何てゆうか…
やっぱりブン太だなぁ…。
「ねぇマネ先輩、昨日一緒に帰ってチュウとかしちゃいました?」
「え…!!?」
ニヤリと笑いながら聞いてきた赤也に思わず顔が熱くなった。
ヤバイ!!!真っ赤になったらバレる!!!
「えぇ!!?何その反応…!!!早っ!!!既に!!!?マジで!!!?」
騒ぐ赤也の頭をバシッと叩く。
それにも動じず騒ぎ続ける赤也。
あぁ!!もう!!!小学生かコイツは!!!
「何々!!?舌は!!?舌入ってきた!!?」
「は、入ってないよ!!!」
「何だ、ただのキスか」
「ただのって何よ!!!」
「あ、いや、その…さすが経験済みの方は手が早いなと…」
「何の話してんだ?あ・か・や?」
赤也の頭を叩く私の背後にブン太が立っていた。
「な、何でもないッス!!!あ、ボレーの練習しなくちゃ」
そう言って慌てて去って行く赤也。
私の隣で「ったく…」と溜息をつくブン太。
私は赤也の言いかけた「経験済み」という言葉がやけに胸につっかえていた。
そう、
ブン太には元カノがいて、キスも初めてじゃなければ童貞でもない。
そう思うと何だか切ないような…
何とも言えない気分になった。
「マネ?」
「え?」
「あー‥アレだよ…」
「な、何?」
「あの時は好奇心の方が勝ってたからな…」
「あ、あの時って…?」
「え?あ、いや、何でもねぇ…」
気まずそうに頭をかいて去って行くブン太。
なんてね…。
何を言おうとしたか分かってたよ。
けどいいの。
関係ないもん。
だって過去のこと。
ちょっと切ない感じはするけど、大事なのは今だもん。
私は初めてがブン太で良かった。
初めて好きになった人も
初めてのキスも
は、初エッチの相手…も…。
なんて、まだ先…だよね?
.