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「あー‥悪かったな。お前の体力のなさまで考えてなくて」
「な、なんかその言い方ムカツクんだけど…」
「何か飲むか?あっちに自販機あったけど」
「あ、大丈夫。鞄にお茶があるから」
そう言いながら鞄からお茶を取り出した。
一口飲んで「プハー」と声を漏らすと隣で笑うブン太。
「な、何?」
「オヤジくせー」
「な、何よ!!いいじゃんか!!運動の後は美味しいのよ!!」
「運動…って、5分も走ってねぇじゃん」
あの距離は普段運動をしない女にとっては運動なのよ!!
って、何だか凄い普通に会話をしてるけど…。
私達、両想い…なんだよね…?
さっきまで緊張してたのがウソみたいに笑って。
最近こんなふうにブン太と話してなかったな。
「やっぱ楽しいわ」
「え?」
「お前といると楽しいんだよ俺は」
私の隣に座りながら背もたれに寄りかかり両手をポケットに入れて照れくさそうなブン太。
私も恥ずかしくて膝の上に置いたペットボトルに視線を落とす。
「あ、あたしだってブン太といると楽しいよ」
「でもマネは仁王とか赤也といても楽しいだろい?」
「え?」
「俺は女で一緒にいて楽しいのはマネだけ」
「………」
何これ…
嬉しくて胸が苦しい…。
「あのさ、お前いつから俺のこと好きなの?」
「は、はぁ!?聞くかぁ!!?そーゆうの!!!」
「だってよ、気になんじゃん。1年の時からつるんでて急にこんな風になるなんて思わなかったろ?」
「そ、そうだけど…じゃぁブン太も言ってね」
「言うよ」
私はブン太に彼女がいたって話を聞いた時からモヤモヤしだしたとか、
仁王に気付かせてもらったとか、
ブン太に意識してもらうために仁王と付き合ったとか、
全部話した。
ブン太は話を聞きながら
「俺、まんまと仁王の策にハマッたのか…すげぇな」
と、感心してた。
軽蔑されるかな?って心配したけど、
私のとった行動は全部ブン太を好きなこと前提だったから
むしろ喜んでくれた。
改めて心の広いヤツなんだと実感した。
これが真田だったら
「けしからん!!貴様のような淫乱とは付き合えん!!!」
くらい言われそう。
って、大袈裟か。
「げっ!!もうこんな時間だぜ?」
「本当だ!!随分話し込んじゃったね」
「そろそろ帰らないとな…」
「うん…」
残念。
もっと一緒にいたかったな。
変なの。
明日も会えるのに。
「お前、今寂しいとか思ってるだろい?」
「な、何で!!?」
「俺がそうだから」
………。
沈黙。
その言葉のない空気は2人だけの空間で、
前に雑誌で『キスをする間』があると読んだことがある。
それが『今』だとはっきり分かった。
私は目を閉じるとブン太と唇が重なった。
触れるだけの
優しいキス。
「………」
「………」
し終わったあと、私達は照れて俯いた。
そして笑った。
「さて、帰るか」
「うん」
私達は手を繋いで歩き出す。
「ねぇブン太、あたし達周りから背中押されなかったらずっと友達のままだったかなぁ?」
「さぁな。わかんねぇ…けど…」
「…けど?」
「やっぱりこうなってたかもな」
「あたしもそう思う」
初めて手をつないで帰った夜道。
このドキドキ、ずっと忘れない。
#15終