指きり
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気がつくと俺は走っていた。
そして
------バンッ!!!
と、勢いよく屋上のドアを開けた。
どういうわけか自然と足がここに向いた。
昨日、亜姫が現れた場所だったから。
もう一度…
もう一度でいい
会わせてくれ…
俺は地面に手をついて顔を伏せる。
地面にボタボタと涙の粒が落ちる。
亜姫!!!
亜姫っ!!!!
何度呼んでもお前は現れない。
頼む…!!!
会わせてくれ!!!!
「亜姫…っ!!!」
「なぁに?」
そう聞こえた声に、俺は地面にあった視線を上げた。
そこには俺の愛した女、亜姫がいた。
言葉より何より先に身体が動いた。
俺は力いっぱい亜姫を抱きしめた。
「亜姫っ!!!」
「えー?どうしたの?昨日とは全然違う対応だー」
「…忘れてて…ごめん…っ」
「ひどいよね…ショックだったよ…」
「悪かった…っ」
「花嫁にしてくれるって言ったことも忘れてた」
「…悪かった」
「あたしの名前も顔も全部全部忘れてた」
「……ごめん」
「景吾…大好き…」
「亜姫…愛してる…」
力強く抱きしめた。
亜姫は顔を上げると俺の涙を手で拭う。
「意外と泣き虫さんなんだから」
「アーン?勝手に出てくんだよ…って、お前の方が泣いてるくせに何言ってんだ」
そう笑いながら俺も亜姫の涙を拭う。
「……うぇ…ひっく…っ」
「バカ…泣くな。俺の前で泣くんじゃねぇ…っ」
「だって…景吾のこと…凄く心配で…」
「……え?」
「あたしを忘れても…景吾が幸せならそれでいいの…」
「…亜姫…?」
「忘れられて怒ってたんじゃないの…景吾…ここ最近泣いてばかり…顔色も悪くて…」
俺は亜姫を失ってから
ずっと魂が抜けたみたいだった。
亜姫を忘れて
普通に学校に通えるようになった
それでも無意識にお前が好きだった場所に行ったり
お前の姿を捜したり
何度も夢に見て
朝は泣きながら目を覚していた。
「そんな景吾…放っておけないでしょ?」
亜姫は微笑むと俺の頬に両手を添えた。
「もう一度約束して」
「アン?約束…?」
「あたしがいなくても幸せになって」
「………っ」
俺の幸せは亜姫といることだ。
亜姫がいないのに
俺はどうやって幸せになれる?
「景吾。景吾なら大丈夫だから」
「適当なこと言うんじゃねぇよ…」
「あたしが好きになった人はそんなに弱くない」
「…亜姫…」
「お願いだから…幸せになって。あたしの分まで笑って…いっぱいいっぱい幸せになって…!!!」
「…無茶な注文すんな…俺は…っ」
「お願い!!!そんなんじゃあたし…もうすぐで1年たつのに全然成仏できない…景吾が心配で離れられない…」
「何だよ…そうやってずっと俺の傍にいればいいだろ?成仏なんかすんな!!幽霊だって何だっていい!!傍にいろ!!!」
俺達は抱き崩れた。
地面に座り込んで抱きしめた。
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