指きり
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教会へ向かう途中だった。
俺と亜姫はずっと手を繋いでいた。
だけど離したんだ。
俺は離してしまったんだ。
『ねぇ、あれ心理テストだよ?まだ怒ってるの?』
「アーン?別に怒ってねぇよ」
『心理テストの結果が忍足と結婚するってなって不機嫌なくせに』
「心理テストって本心が分かるんだろ?お前たまに忍足のことカッコイイとか言ってたしな。満更じゃないんじゃねーの?」
『はぁ!?本気で言ってんの!!?バカじゃないの!!?』
「アン!?バカだと!!?」
『景吾がこんなバカな人だなんて思わなかった!!』
「あ、おい!!」
『おバカな景吾なんて嫌い!!』
亜姫は俺の手を振りはらって
真っ直ぐ走って行った。
そして一瞬だった。
クリスマスで浮かれた飲酒運転の車が突っ込んできて…
俺もテニス部の連中も
何が起こったのか分からなかった。
気が付いたら血まみれで亜姫が地面に横たわってて…
俺は抱きかかえながら何度も名前を呼んだ。
「亜姫、亜姫、亜姫っ!!!!」
何度も何度も呼んで
腕の中に抱きしめた。
『……け…ご…』
「亜姫!!?」
『…ごめ…、嫌いだなんて…ウソ…』
「分かったから!!もうしゃべるな…!!!」
『…あと…さっきの約束…忘れて…?』
「何言ってんだ…何で忘れなくちゃいけないんだ?」
『…多分…あたし…行けない…星…見たかったけど…』
「アーン?行くんだよ。俺様との約束を破る気か…?」
『…ごめん…ね?…だから…違う約束…させて…?』
「何だ?言えよ…」
『…あたしがいなくなっても…ちゃんと元気でいて…幸せになって…ね…?』
「亜姫がいなくなるわけねぇだろうが…何言ってんだ…?」
『指きりして…?』
「………っ」
『ずっと、ずっと大好きだよ…』
何だこれ…
何だこの記憶は…
何で俺…
思い出したりなんかしたんだ…?
思い出したくなかった。
亜姫を失ったことなんて思い出したくなかった!!!
「うぁぁぁぁぁっ!!!!」
「跡部!?」
俺は叫んだ。
苦しくて耐えられない。
亜姫のいない世界を生きるのは辛すぎる。
…だから俺は…
記憶を封印した…
亜姫を忘れるために…
自分が楽になりたいがために……。
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