指きり
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「………べ」
ん?何だ?
「……ぁとべ」
誰だ…?
「跡部!!!」
「!!!?」
そう揺さぶられながら俺を起こしたのは忍足だった。
何だ?
俺はいつの間にか寝てたのか?
寝起きで上手く頭が働かない。
中庭のベンチか…。
あれ…?
俺さっきまで誰かと一緒にいなかったか…?
「あんなぁ跡部、今何時か分かっとるんか?」
「アン?昼休みじゃねぇの?」
「そんなんとっくに終わったわ!!これから6時間目始まるで!?」
「……は?」
「なかなか戻ってこんと思ったら…こんな寒空の下でアホか。風邪引くで?」
俺はずっと寝てたのか?
あれは……夢…なのか…?
「…忍足…お前よく俺がここにいるって分かったな…」
「そらぁ…ここはお前等の……」
「…どうした?」
「……いや…」
忍足は急に顔を伏せた。
何だコイツ…。
俺と忍足はゆっくりとクラスへ向かって歩く。
俺は歩きながら色々と思い出していた。
また俺は何かを忘れた。
とても大切なことを。
いや、思い出してはいけない。
確かそう思ったはずだ。
だけど微かに耳に残っているあの声は
『景吾』
あの声は誰だ?
あの優しくて懐かしい声は
誰の声だった?
「痛っ!!!」
「跡部どないしたん!?」
急に頭に激痛が走り、俺は立ち止まった。
「風邪引いたんとちゃうん?最近様子おかしかったしな。早退するか?」
「…いや…大丈夫だ…」
「せやかて顔色も良くないで?」
「忍足……」
「な、何や…?」
「………っ」
『景吾ずっとずっと大好きだよ』
「亜姫…っ!!!」
「!!!?」
そうだ亜姫だ。
どうして忘れてたんだ?
昨日屋上で会って、さっきまで一緒にいた女…
亜姫…だ。
俺は顔を上げて忍足に尋ねた。
「お前、亜姫って名前の女子知ってるか?苗字を聞き忘れたんだが…」
「……跡部…何言って…」
「まぁ、顔はわりと可愛いから目立つとは思うんだが…なかなか見つからなくてよ…」
「おい跡部!!」
「アン?忍足知ってるのか?」
「お前……っ!!!」
忍足は俺の肩を思い切り掴んできた。
その手の力は強く、思わず後ろに倒れそうになった。
「お、忍足テメェいきなり何す……っ!!!」
そう言いかけて忍足を睨むと目に涙を溜めて苦しそうな表情をしていた。
何だ?
いったいどうしたんだ!?
「おい…忍足…何泣いて…」
「……亜姫はお前の彼女やろ…」
震えるような声で呟く。
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