指きり
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もう昼休みだ。
午前中の休み時間を使って全部の教室を回った。
なのに見つからない。
アイツは本当に3年生か?
こんなに捜していて何でどこにもいねぇんだ。
「クソ…ッ」
俺はイライラしながら一人ベンチに腰掛けた。
するとベンチの後ろから…
「だーれだ?」
と、俺の目を両手で塞いできた。
アン?“誰だ?”だと?
そんなもん分かんねぇはずないだろうが。
「亜姫、テメェいきなり何しやがる」
俺は亜姫の手首を掴んだ。
すると笑いながら「ばれた?」と言って俺の隣に座ってきた。
亜姫の笑顔を見たら俺も自然と笑みがこぼれる。
不思議な感覚だ。
「景吾一人でお昼食べてるの?」
「あぁ。最近はずっと一人だ」
「どうして?誰かと食べた方が楽しいんじゃない?しかもここのベンチ全く周りに人がいないし…」
「寒くなってきたからな。外で食べるヤツなんかいねぇよ」
「景吾も中で食べればいいのに…」
「何言ってんだ。お前が寒くても外で食べるのが好きだったから俺にもうつったん……」
……今
俺、何て言った?
『景吾』
『景吾…約束して…』
『ずっと、ずっと大好きだよ…』
『 』
「景吾?」
「………っ!!!」
一瞬頭が真っ白になった。
何だ?
今のは何だ?
何だあれは!!!
クソッ!!!
あと少し!!!
あと少しで思い出せそうなのに…っ!!!
「……大丈夫?」
「…俺……っ」
「そんな顔しないで?」
「?」
「景吾が泣きそうな顔してたら辛いよ」
「…俺…泣きそうな顔してるか…?」
「泣く一歩手前」
「…そんな顔、俺様がするわけねぇだろ」
「だってしてるもん」
「してねぇ」
「してる」
「してねぇよ!!!」
「怒ったぁ!!」
「怒ってねぇ!!!」
「あはは!!怒ってるってば!!!」
ったく。
コイツ何がそんなに楽しいんだ?
何でそんなに幸せそうに笑うんだ?
思い出せそうで思い出せない
この感じは何だ?
………。
そうか…
俺自身が鍵をかけた記憶
思い出してはいけない記憶
思い出したらいけない。
ダメだ。
「景吾…」
「アーン?」
亜姫は急に俺の頬を両手で触れるとボロボロと大粒の涙を流した。
そして
「好きだよ」
そう繰り返した。
あぁ…俺も好きだ
お前が好きだ。
ずっとずっと愛してるよ。
亜姫…。
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