指きり
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俺は亜姫の流れる涙を手で拭う。
すると微かに笑みがこぼれて俺を見つめた。
「…どうした急に…」
「…だって…」
「ん?」
「……約束したのに…」
「…え…?」
「景吾…約束守ってない…」
「……何のことだ?」
「………」
「亜姫?」
------ドクンッ
『亜姫』
そう言葉にしたら
いきなり胸が苦しくなった。
「景吾」
「------何だ?」
「ガラスの靴履かせて」
「…ガラスじゃねぇだろが。薄汚い上履きだろ」
「薄汚いとか言わない!!景吾が履かせてくれたらもうそれは立派なガラスの靴なの!!」
「どうゆう理屈だ」
「王子様ってことだよ」
「ま、悪い気はしねぇな」
俺は上履きを手にとると亜姫の足首を持って履かせた。
「あたしシンデレラー」
さっきまで泣いてたくせにもう笑ってやがる。
なんて女だ。
靴を履かせ終わると亜姫は立ち上がって走り出した。
「王子が履かせてくれた靴がピッタリだった姫は王子の花嫁になるんだよ」
「本当にシンデレラってそうゆう話だったか?」
「そうだよ。シンデレラはね、もう一度王子様に会いたくてワザと靴を落とすのよ」
「アーン?わざと…?」
「自分の手がかりを残して会いに来てもらうためにね」
「随分目ざとい女だったんだな」
「女は目ざといよ」
そう笑うと亜姫は屋上のドアまで駆けて行った。
そして振り返ると
「あたし景吾にわざと靴ぶつけたんだ!!ごめんね!!!」
そう言って出て行った。
屋上に残った俺は亜姫の後姿を見送ると
「そんなこと気付いてたに決まってんだろ」
と、呟いた。
亜姫……か。
確かに見覚えのある顔なんだ。
『景吾』
そう俺を呼ぶ声も
どうして思い出せない?
俺は
何か大切なことを思い出せていない。
『約束』
って何だ?
俺は亜姫と何を約束した?
「……はぁ…」
・
・
・
『今年のイヴは皆も呼んで景吾んちでパーティーだね』
「アーン?皆?お前と俺の二人きりでいいだろ?」
『だってもう忍足達も来るって盛り上がってたよ?』
「…アイツ等…」
『いいじゃん!!皆で楽しもうよ!!』
「 」
・
・
・
「………っ」
まただ…
また今日も俺は泣きながら目を覚ます。
何で泣いてる?
どうしてこんなに苦しいんだ?
俺は
さっきどんな夢を見た?
********
今日もまた重い足取りで学校へ行く。
そういえば亜姫は何組の生徒だ?
苗字は何ていう?
何も聞いてねぇ…。
『約束』
それが思い出せれば何か俺の中で変わりそうな気がする。
亜姫に会って話すか…。
俺は取りあえず3年のクラスを一つ一つ覗くことにした。
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